QSをアピールして反論。
 
「しかし結局、勝ち越したのは1つだけだろう」
 
「僕は援護率が低かったから、数字には出ない面も多い。この日だって」

 そういってSの熱投を伝える新聞の切り抜きを示した。見出しには〈ポストズ またS見殺し〉とある。本部長がSに語りかける。
 
「もちろん、数字に表われない部分もきちんと査定しているよ。見なさい」
 
 示された資料には想像以上に細かい数字が書かれていた。反論の余地はなさそうだ。Sが声を絞り出す。
 
「……せめて3の大台には乗ると思っていました。もう少し何とかなりませんか」
 
「じゃあインセンティブでどうかな。二桁勝利、150イニング以上で200万円ずつ。防御率3点以下なら100万円もつけよう。それなら3に乗るだろう」
 
「……考えさせてください」
 
 事務所を出ると報道陣がSを取り巻いた。「いくら?」「判は押した?」という質問が飛んでくる。
 
「いや、判はまだです」
 
「不満があったの?」
 
「そうですね、ちょっとまだ考えたくて……」
 
 翌日のスポーツ新聞には、こんな見出しが躍った。
 
〈ポストズS投手 400万アップ保留「不満。ちょっと考えたい」〉

※週刊ポスト2015年12月18日号

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