国内

羽柴秀吉氏 出馬時に「豊臣」でなく「羽柴」を名乗った理由

 来年の夏には参議院選挙が控えているが、もし生きていればきっと話題になったに違いないのが「羽柴秀吉」氏(本名・三上誠三。享年65)だ。本職は、温泉旅館や建設会社を経営する「羽柴企業グループ」の社主だった。甲冑姿のド派手な選挙ポスターや、大阪城を模した自宅が話題になり、「日本一有名な泡沫候補」と称された彼は、なぜ「羽柴秀吉」を名乗るようになったのか。

 1976年に本名の「三上誠三」で青森県金木町選に立候補し、27歳で初めて選挙に挑戦した彼は、1999年に東京都知事選に立候補。この時から「羽柴秀吉」を名乗るようになる。その理由について次男の三上大和氏は、「地元の菩提寺の住職に『豊臣秀吉の生まれ変わりだ』といわれたのがきっかけだった……ということになっています」と説明する。

 歯切れが悪いのは、当時の住職(故人)曰く「そんなことはいっていない」からだ。ただ、住職は「『武将のような面構えだ』といったような気がする」とも語ったという。その言葉が羽柴氏には響いたのかもしれない。

 ともかく、誠三氏は「羽柴秀吉」として政治活動に邁進することになる。2000年の大阪府知事選、衆院選、2001年の参院選に相次いで出馬。2002年の長野県知事選では「脱ダム宣言」の田中康夫知事に対抗し、候補者の中で唯一、ダム建設推進を積極的に訴えたが敗れた。

 その後も衆院選や大阪市長選など次々と落選。だが、2007年の参院選では社民党公認候補を上回る10万票を獲得。同年の夕張市長選では342票差で次点というところまで迫った。

「選挙の際のキャッチフレーズは『輝く日本新時代』。夕張市長選では『輝く夕張新時代』を掲げました。『会社経営も政治も一緒』が口癖で、経営者として成功した自負があったからこそ、自分なら新時代を切り開けると信じていたようです。

 2007年に夕張市の財政立て直しを図った際にも『命がけで夕張を再建する。それが天下取りの第一歩だ』と語っていました。甲冑を被ったり、金箔を食べたりするパフォーマンスも、『知名度がないと発言力を得られない、発言力がないと政治ができない』との熱い思いゆえなんです。

 彼の真意が市民に伝わったのか、落選直後には夕張市に後援会ができた。イロモノではないと感じた地元の人が『4年後は勝てるかもしれない』と思って自ら立ち上げてくれたんです」(選挙の際にブレーンとして仕えた元秘書)

関連キーワード

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン