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靖国爆破犯 韓国空軍除隊、反日感情根強い地域出身等影響か

 11月23日に起きた、靖国神社南門付近の男子トイレ内で爆発音がした事件は、発生から約2週間経った12月9日朝、韓国籍の全昶漢(チョン・チャンハン)容疑者が建造物侵入容疑で逮捕された。

 そもそも全容疑者は何故こんな凶行に至ったのか。本稿締切時点では動機は明らかになっていないが、彼の経歴にそのヒントがある。1988年生まれの全容疑者は、韓国南西部・全羅北道の都市である南原市出身。最近は同じく全羅北道の群山市のワンルームマンションに1人で生活していた。

 現地報道によれば、全容疑者は中学を卒業後、高卒認定試験を経て2009年3月に韓国空軍に入隊。軍では「施設兵科」という基地の新設から施設管理、滑走路の除雪などを幅広く担当する部門に所属していた。階級は下士官の中では最も低い「下士」で、軍は今年3月までに除隊したとされている。元韓国軍幹部の話。

「『除隊』という言葉が引っかかる。韓国で除隊といえば、自分の意思で辞めたともクビになったともとれる言葉です。現在、韓国では就職難を背景に、若者の軍隊への入隊希望者が急増している。来年の募集人数29万人に対し、志願者は31万人という状態です。2年間の兵役義務を終えてからも軍に残る者は少なくない。5年間在籍していた全容疑者もその1人でしょう。ただ人気がある分競争率も高く、職業軍人でもクビになることはある。

 特に全容疑者は高卒認定試験に合格しているそうだが、厳しい学歴社会である韓国において、大卒でないことはマイナスに働く。次々入隊してきた後輩に押し出されてしまったというような、不本意な除隊の可能性も十分に考えられます」

 さらにこの元幹部は全容疑者の出身地にも注目する。

「南原市を含む全羅北道は、日本統治時代の独立運動の舞台にもなった場所で韓国の中でも反日感情が根強い地域で有名です。家族や祖先に『日本に虐げられた』という思いを持つ人は珍しくないため、日本に対する明確な敵意を持つ人は多いとされます」

 あくまで推測の域を出ないが、5年間勤めた軍を不本意な形で「除隊」していたとしたら、そしてそれが反日感情の強い地域で育ったバックボーンと結びついたとしたら──納得のいく説明ではある。

 本誌は逮捕前日の8日に全容疑者の電話番号を入手。彼に直接取材を試みた。しかし何度かけても「接続できません」と自動音声が流れるのみで、結局、本人と電話がつながることはなかった。

※週刊ポスト2015年12月25日号

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