会場が突然暗転すると、ステージとは反対にある入り口の扉が開いた。たかれた白いスモークに、照明が集まる。その瞬間、参加者は息をのんだ。スーツでもユニフォームでもなく、渋い墨色の着物に羽織姿という和装の五郎丸歩選手(29才)が凜と立っている。“キャー!”という悲鳴に似た歓声が会場を包み込んだ──。
W杯以来、すっかり五郎サマに骨抜きにされた女性セブンアラフォー女性記者が潜入したのは、12月20日に開かれた五郎丸の初のトークイベント『五郎丸選手のスクラムトークの夕べ』。会場は東京・文京区の伝統ある結婚式場で知られる『ホテル椿山荘東京』だ。450席のチケット(大人1万6000円)は即完売で、会場には着物やドレスアップした女性、ラガーシャツの少年たち、この日のために“五郎丸カット”でキメた男子大学生まで駆けつけた。
夕方5時、“五郎丸フルコース”の夕食がスタート。ラグビーボールに見立てた海老芋の煮物、石川・金沢市の五郎島名産のさつまいもである「五郎島金時」、出身地・福岡のお米を炊いたご飯に、来季参戦する豪州リーグに引っかけた豪州産ビーフ…。五郎丸の顔がプリントされたデザートのマカロンは“持って帰りたい”というファンが続出した。
そして7時、いよいよトークショーが始まった。主な内容はというと、熱血すぎる五郎サマの、熱血すぎるラグビー談議。ラグビーの魅力は「全部! もうラグビーが大好きなんです!」。想像を絶するハードな練習を明かすとともに、陰で支えてくれたスタッフへの感謝の言葉も忘れない五郎サマの紳士なところにもキュン…。
参加者が一様に驚いたのは歴史的勝利だったW杯南ア戦について話が及んだときだ。
「ぼくはいつも後ろで見てるんですが、日本のディフェンスに1つも隙がなかった」
なんと、五郎サマは試合開始10分で勝利を確信し、試合中は楽しくて仕方なかったのだとか。すごすぎる! プライベートトークでは、好きな食べものはとんかつ、嫌いな食べ物はレバー。小さい頃の夢は漁師かレスキュー隊員だったという。ファンとの質疑応答では“五郎丸カット”のセット方法について質問が飛んだ。
「水で濡らしてタオルでサッと拭いてジェルつけて終わりです。1分ぐらいです(笑い)」
その後、サインボールやサイン色紙などの抽選会が行われて、あっという間に夢のような時間も終了予定時間の午後8時に。
だが、そこから本日最大のサプライズが! なんと参加者全員と五郎サマがハイタッチをするらしい。列の前のほうから興奮が伝わってくる。五郎サマがドンドン近づいてくる。緊張でカラカラの声で、なぜか「ありがとうございます」と口走った私に、まっすぐな瞳で微笑みかけてくれた五郎サマ。右手はどっしりと大きく、そして柔らかだった。
※女性セブン2016年1月7・14日号