今年の日本の株価はどう動くのか。世界的な株高に一役買ってきた米国が年末に利上げに転じたことをネガティブに捉える見方も少なくないが、日経CNBCコメンテーターを務める平野憲一氏(ケイ・アセット代表)は真っ向から否定する。
「今回の利上げは単なる金融引き締め策ではない。緩和状態が続くなかでゼロ金利が解除されたということは、米国の景気がよくなったことを示しています。これによって米国は金融政策が支える金融相場から企業業績が支える業績相場に移行した。米国株はまだまだこれからです」
経済アナリストの豊島逸夫氏も同意見だ。
「利上げに怯えてきた2015年とは違い、2016年は利上げの呪縛から解放される“安堵相場”になる。中国リスクは依然ありますが、中国の金融政策には利下げ余地があり、財政出動の余裕もある。危うい状況が続く欧州でも、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が大胆な量的緩和を打ち出す“ドラギマジック”はまだ有効と見ています」
米国とは対照的に、日本はいまだデフレ脱却の道半ばにある。だが、それも株式市場にとっては好材料だ。
「昨年12月に日銀は緩和政策の補完を発表しましたが、いずれにしろ日本はまだまだ景気の下支えが必要で、異次元金融緩和が強化される方向に変わりはない。さらなる追加緩和を含めて流動性相場はまだまだ続くでしょう」(平野氏)
追加緩和実施の時期について、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は、「企業に賃上げを迫る政府としては春闘でのベースアップを後押ししたいはずなので、2016年前半には発表する可能性が高い」と見ている。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号