コラム

投資信託 ファンドラップ人気低下、インデックス型に資金流入

 投資信託市場では外国株式の低迷もあって日本株ファンド、それもインデックス型への注目が高まっているという。投信の最新動向について、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。

 * * *
 2015年の8月下旬に起きた「中国ショック」以降、金融市場は大きく乱高下したが、個人投資家の資産運用への意欲は衰えず、国内の投資信託市場には順調な資金流入が続いている。

 投資信託市場への流入額から流出額を差し引いた純流入額は、8月9194億円、9月7190億円、10月2978億円となり、2014年12月以降、11か月連続でプラスとなった。また、10月は金融市場も落ち着き、内外の主要な株式市場が値を戻したことで、投資信託市場の残高も大幅に増加。10月末の時点で、64兆5000億円と前月から3兆6000億円増加した。

 ただし、個別のファンドを見ると、激しい資金流出に見舞われているファンドもある。特に、残高を減らしているのが、高水準の分配金を出していた毎月分配型ファンドだ。高い分配金の源泉となっていた、新興国の株式や債券、REIT(不動産投資信託)での運用収益が、中国ショックによって大きく悪化したのだ。

 2015年に入って、新興国通貨は、不安定な動きを続け、中国ショックによって大きく下落した。同時に、新興国からの投資マネーの流出が本格化し、投資対象となっていた金融商品の価格が急落したことで、毎月分配型ファンドの基準価額は下がり、分配金の引き下げも相次いだのである。

 また、ここ1~2年ほど好調だった、ファンドラップの人気も離散してきた。ファンドラップとは、金融機関が、あらかじめ投資家の運用目的やリスク許容度を聞き、それに基づいて資産配分や金融商品の選択をし、購入までをおこなう金融サービスである。投資家にとっては、プロに資産運用を任せることで、運用に関わる手間を省けるというメリットがあるため、初めて資産運用をするといった層からの資金が流入していた。

 ただし、ファンドラップで実際に投資の対象となるのは、証券会社が提供する専用のファンド。投資環境が悪化したこともあるが、既存のファンドと比較しても目立った運用成績を挙げたものは少なく、結局手数料の分だけ不利になった、といったケースが多かった模様。ファンドラップの顧客層からの資金流入が一巡したことも、伸び悩みの要因となっている。

 代わって、投資家からの資金が流入しているのがインデックスファンドだ。インデックスファンドとは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった指数に値動きが連動するファンドのこと。株式だけでなく、債券やREITの指数に連動するインデックスファンドもある。

 通常、金融市場が不安定なときは、インデックスファンドよりもアクティブファンドが選好される傾向がある。アクティブファンドは、運用スタイルにおいてインデックスファンドとは対照的で、運用を担当するファンドマネージャーが、状況に応じて投資対象を機動的に入れ替えることができるからだ。

関連キーワード

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン