勝谷:そう。これが急に布団から起き上がれなくなってしまったんだよ。だけど、僕は医者の息子だったからなのか、「これはうつだな」っていうのがすぐに分かった。それで、医者をやっている弟にすぐに相談して、専門医に行って投薬治療を受けて、3か月ですぐに治った。
中川:なるほど。
勝谷:僕の場合は病識があったから良かったんだけど、もしも「うつかも?」って思う人がいたら、すぐに心療内科か精神科に行ったほうがいい。「うつなのかな? そうじゃないかな?」って、鬱々とした状態を続けることがいちばんダメ。で、本当にビックリしたのが、うつ病を告白したら、Yahoo!ニュースのトップに載ったこと。うつに対する偏見がまだこんなに大きいんだなって感じた。
中川:たとえば、性病にかかったことを公表するのが恥ずかしいとか、痔であることを公表するのが恥ずかしいとか、そういうものに近い感覚というか…。たしかに、うつ病であることをバレたくない人もいますよね。
勝谷:でもやっぱりそれは、そう思わせてしまう社会が間違っているということだと思う。隠す必要なんてないと思うよ。僕が「うつですよ」って公言したのはいいことだったんじゃないかな。
中川:僕もそう思います。ちなみに、勝谷さんはうつ病になったとき、どう思ったんですか? 「ヤバい病気になったなあ」なのか、「まあ、こういうのもあるか」と思ったのか。
勝谷:「こういうのもあるかな」って思ったね。
中川:でも、人生で初めてのことですよね。
勝谷:そうなんだけど、意外と話は単純でね。たとえば、僕ががんになったら、最高の治療をしようと思う。つまり、これは戦場にいる人間と同じ考え方。戦場では最適な行動をしないと死ぬんだよ。それと同じで、「あなたはうつです」と言われたら、うつを治すためのいちばんいいお医者さんに行って、いちばんいい治療をしようっていうことだけだよね。だから、うつだけじゃなくて、他の病気でも、何かちょっとおかしいなと思ったら、すぐにお医者さんに行くべき。「自分はそんな病気にかかるはずはない」なんて考えるのはダメ。
中川:それってすごく無駄な自信ですよね。
勝谷:そうそう。本当に無駄。でも、人間って弱いから、そう考えちゃうのも分かるんだけどね。やっぱり鬱々としていることがいちばん良くないと思うよ。