そんな北朝鮮の意図とは別に、核実験が韓国に与えたインパクトは強烈だった。7日、日本でいえば自民党幹事長に相当する韓国の与党セヌリ党の元裕哲・院内代表が、党最高委員会議の場で「北の恐怖と破滅の核に対抗し、韓国も自衛レベルの平和の核を持つべきだ」と発言した。すると他の議員からも「生きるか死ぬかの問題だ。韓国も核開発が必要だ」と同調する意見が相次いだのである。産経新聞ソウル駐在特別記者兼論説委員の黒田勝弘氏の解説だ。
「元氏は以前から核武装を主張してきた人物ですが、これまで賛同者は少なかった。しかし北による核実験を受け、“着実に進展している北の核開発を止める必要がある”との議論が政界内で高まっています。ネット上でも、特に若い世代の間で“アメリカに頼らない韓国独自の防衛策として核武装を!”といった声が増えている」
韓国のシンクタンク「東アジア研究院」が2014年に行なった世論調査では、核武装に「賛成」の割合は69%に達した。これまでも北朝鮮が核実験を強行するたびに、韓国では核武装論が台頭したが、「この核実験で、今まで以上に世論が核武装に傾く可能性がある」(同前)という。
※週刊ポスト2016年1月29日号