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民泊ビジネス解禁へ 「大田区モデル」が成否のカギ握る

空き家解消の期待も高まる民泊ビジネスだが……

 2020年の東京オリンピックを控えて宿泊施設不足が叫ばれる中、1泊1万円程度で自宅やマンションの空き部屋を外国人訪日客などに貸し出す、いわゆる「民泊」ビジネスの規制緩和が急ピッチで進んでいる。

 年間2000万人に迫る勢いで増え続ける訪日客が五輪時に2500万人に到達した場合、新たに4.1万室の宿泊施設が必要になるとの民間試算もある。そこで民泊を広く解禁すれば、深刻な空き家問題の解消に繋がるうえ、「10兆円規模の経済効果が見込める」(新経済連盟の主張)と期待されているのだ。

 旅館業法の営業許可を取らない違法ビジネスは、すでに全国各地で横行している。「個人レベルでも大都市圏で民泊専用の賃貸物件を借り、仲介サイトを通じて年間100万円以上の利益を得ている人もいる」(都内の不動産業者)

 そんな状況下で、民泊推進を掲げる政府は堂々とビジネスができるよう、前のめりで対応を急いでいる。

 昨年4月に施行された国家戦略特区法に基づき、大阪府や東京都大田区など認めた特区に限り、フロント設置など旅館業法の基準を満たさない住宅でも客を宿泊させられる仕組みを整えた。

 また、1月25日には厚生労働省が民泊をカプセルホテルと同等の「簡易宿所」に位置づけ、マンションのワンルーム規模から旅館業法の許可が得やすいよう、客室床面積を緩和する方針を固めた。最終的には一定の条件さえクリアすれば住宅街で個人が自由に民泊ビジネスを手掛けられる「法規制の撤廃」を目指す。

 しかし、規制緩和が進めば進むほど気にかかるのが、リスクやトラブルへの防止策が追い付くのかという点。いまでも外国人旅行者が頻繁に出入りする違法な民泊施設の近隣住民からは、騒音やゴミの散乱などのクレームが報告されている。

 特区を活用して民泊条例を制定した大田区は、1月29日の施行に向けてトラブル対策などを明記した規則とガイドラインを公表した。それによると、事業者に〈民泊施設の敷地から10メートル以内に住む人や、マンションの同じ棟で暮らす人への周知徹底〉〈近隣からの苦情や火災など緊急時の対応窓口設置〉〈適切な廃棄物処理〉などを求めていくという。

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