スポーツ

角居勝彦調教師 馬が元気になる冬は鞍上の動きと配慮がカギ

 競馬において、ダートのレースが多くなる冬場はいまひとつ馬券購入の意欲がわかないというファンも多い。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、冬のダート戦ならではの妙味についてお届けする。

 * * *
 寒さ本番。馬も人間も吐く息が真っ白です。こうなると馬は元気になります。競馬でも調教でもヘバらない。カイバ食いもよく、疲労回復も早い。

 だから調教がスムーズなのですが、注意点もあります。寒さで人間の動きが縮こまる。関節や筋肉の活動域が小さくなりがちです。馬の動きを十全に引き出せず、むしろ制御してしまうこともあります。すると馬が不満を覚える。「どうしたの? こっちは絶好調なのに、なんできちんと追ってくれないの?」と。せっかくの馬の気合いを殺いで、反発されることもあるのです。

 馬に跨がる人間も元気でなければいけません。人馬の齟齬を防ぐため、ウチでは調教前にスタッフの身体をしっかりとほぐしておきます。馬以上に動いてもらわなきゃ困る。冬は鞍上の動き、配慮がカギを握るんですね。

 配慮といえば、この時期の3歳馬のデビュー。ここがとても大事です。

 3歳の管理馬は30頭いるのですが、厩舎に置いておける数は限られており、外厩などとの入れ替えが必要で、厩舎としては身体も頭もフル稼働しなければいけません。これからは2月の小倉(小回り)開催、3月の中京(左回り)開催もあるので、さらに選択肢が広がっていきます。

 以前、2歳時に2勝というのが一つの目安といいましたが、それはあくまで理想。まだまだ焦りはありません。「なんとかクラシックに間に合わせたい」という考え方もありますが、GIはあくまで勝つために臨みます。勝てない仕上がりならば、無理にトライアルに持っていくこともない、という思いがあります。

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