プロ野球のキャンプは、選手たちが1年間を戦うための体作りや技術の習得にいそしむが、当然かかる費用も莫大だ。選手、監督、コーチ陣をはじめ、練習に欠かせないバッティング投手やトレーナー、球団スタッフなど、各球団の総勢は150人以上もいるため、一人1泊の宿泊費・飲食費を3万円とし、期間を30日間としたらそれだけで1億3500万円となる。
そこに各種費用が乗ってくる。キャンプ地までの移動費用、現地での移動に使う監督・コーチ陣が乗るレンタカーや選手バスなどの交通費。当然ながら球場使用料。警備や駐車場の誘導をするガードマン、球場の整備やボールボーイを務めるアルバイト……。
阪神で球団社長を務めた、野崎勝義氏(現・関西国際大学客員教授)によれば、阪神の場合はキャンプ地のグラウンド整備のために、普段は甲子園球場の整備を担当する「阪神園芸」の職員を帯同させたという。
「最高の芝の状態で練習してもらいたいのが第一。それに、スタッフとして地元学生アルバイトを雇うにしても、阪神がキャンプを張る沖縄や高知は他球団も来ていて、野球を知っている学生の取り合いになってしまう」(野崎氏)
さらにこうした経費の中で、最もバカにできないものがクリーニング代だ。選手が練習するともちろんユニフォームが汚れる。さらに暖かい地域だから、指導に当たる監督・コーチや裏方スタッフも大量の汗をかく。そうした各人が出す洗濯物は、「ユニフォームからソックスまで1人1日平均20点」(球団職員)。合わせると何百点にも上る。仮に1点100円として計算しても1日30万円となり、30日で900万円。地元のクリーニング店は笑いが止まらない。
「こうした経費に宿泊費を加えると、球団の選手・スタッフ1人あたりにかかる経費はざっと1日4万~5万円になりますね。これに人数と日数をかけたものが総費用といっていいでしょう」(野崎氏)
4万円として計算しても、その額は1億8000万円だ。
※週刊ポスト2016年2月19日号