また、本人が出したゴミ袋も調べ、コンビニ弁当の箸を持ち帰ったり、宿泊ホテルで体液のついたティッシュなどをおさえていた。結果としてこれが大きな決め手となる。組対5課には200人以上の捜査員がいるといわれているが、これだけの事件となれば何人の捜査員が動くのか。
「捜査にかける人員は事件の大小や、張り込む場所や対象物件によっても変わります。たとえば、テレビ局のように何か所も出入り口があればどこから出てきてもいいように捜査員を配置しますし、清原容疑者のマンションは表と裏に出入り口があるといわれているので、その場合だと2か所出入り口の張り込みが必要になってきます。尾行班など含めて、20~30人の班で動いていたと思います、実際、私が現職の時の薬物事件では、1つの案件で、30人以上の捜査員が動いたこともありました」(吉川さん)
24時間マークしてバレないように監視を続けるなんて、まるで刑事ドラマの世界そのもの。だが、「彼らは特殊な訓練を受けているわけではない」と吉川さんは言う。
「相手とどれくらい距離をとるか、どうやって尾行するかといったルールは特にありません。ベテラン捜査員が、経験に基づいて行動します。たとえば喫茶店に入るとき、座る位置は決まっていません。パッと見て空いている席のなかで声が聞き取りやすい位置など、状況に応じて見極めます」
路上で尾行するときには、さりげなく通り過ぎることが重要だという。
「相手から見えないように、対象者をわずかに見ながら尾行していきます。路上で相手が立ち止まったときに、同じように止まっていたら怪しまれます。そのときはスッと抜き去って、後ろに待機している別の捜査員が尾行を続けます。相手が車で動けば車も動きますし、どこでどう動くかわからないので、急に降りて歩き出したときにはすぐ追えるようスタンバイしておきます。だから1つの尾行に何人も必要となりますし、24時間態勢で動くとなれば何十人もの捜査員が必要なのです」(吉川さん)
※女性セブン2016年3月10日号