◆ハードな乗り心地で男をみなぎらせよ!
で、復活したアルトワークス、その走りはどうか? とにかく軽い。ひたすら軽い。車重は670kgと、昔のアルトワークスとさほど変わらない。昔より衝突安全基準がはるかに厳しくなっている中、これだけ軽く仕上げたのは、スズキの執念の賜物である。
トランスミッションは5速MTと5速AGS(セミAT)が選べるが、スポーティな走りを満喫するなら、当然MTがオススメだ。足回りは固く締め上げられており、乗り心地はかなりハードだが、回春剤としてはこれくらいの強烈さがあってしかるべきだろう。
もう少し乗り心地がソフトなほうがいいなら、アルトターボRSがある。パワーはワークスと同じ。ただこちらにはマニュアルの設定はなく、セミATのみだ。
どちらもボディはアルトだから、大人4人がしっかり乗れる。S660やコペンは2人乗り。実用性では断然アルトワークス有利である。しかもボディが断然軽い分、加速もアルトワークスが一番鋭い。150万円ちょっとの実用的な軽自動車で、これだけ速いクルマが買えるのは、実に素晴らしいことではないか!
実はスズキには、もうひとつオススメの派生モデルがある。主に女性をターゲットにしたラパンだ。
女性がターゲットだけに、ルックスは実にかわゆいが、オッサンから見ても本気でかわゆい。子犬を飼うような気分で、このかわゆいラパンを飼いたい気分になってしまうのは、禁断の欲望だろうか?
女性向けだけあって、乗り心地はフンワリとマシュマロのようにソフトだ。アルトワークスとはまるで真逆である。しかし逆もまた真なりと言う。復活したアルトワークスがオッサンの焼けぼっくいに火を付けるように、このかわゆいルックスのラパンに恋してしまうオッサンは少なくないはず。
確かに「オレが乗っても似合わないよナ」とは思う。しかし世の中、似合わな過ぎると逆にハマることがある。ブサイク芸人の女装のように、オッサンがウケ狙いでパステルカラーのラパンを飼うのも悪くない。
※週刊ポスト2016年3月11日号