春野:朝昼晩のテストで80点取れないともらえないので、ほぼ、1日1食。お腹が空いていたので、あじのひものは骨まで全部食べていたし、付け合わせのソースをなめたりしていました。企画が終わったら10kgくらい痩せたので、それは嬉しかったです。

――外にも出られないし大変ですよね。

春野:実は、2回脱走して、家に帰ったことがあるんです。計画的犯行です。何曜日は一番怖いスタッフさんがお休みだなとか、スタッフさんの行動を全部メモして。夜中にビデオを取りに来たり、日記を書いてと言われたりするので、その時間も全部チェックました。それで、何曜日の何時はスタッフさん来ないって。

 決行したのは、消灯してからで、真夜中です。外に出られないように、靴も取り上げられていますからね。黒いガムテープで、靴下の周りに黒いガムテープをぐるぐる巻いて、靴に見えるようにして。坂本ちゃんと2人で脱出しました。マンションの隣は、スタッフさんが使う部屋になっているのでドキドキでした。

――脱出して、どこに行きましたか?

春野:まず、コンビニに行って、肉まんとかプリンとかを買って2人で四谷の公園で食べました。それから、私は電話ボックスから親に電話して、実家に帰りました。母に会えた時は、ほんとうれしかったですね。

 戻る時は、四谷のマンションまで親が車で送ってくれて。別れる時は、泣きながらバイバイしました。でも『ショーシャンクの空に』とか、脱出ものの映画が好きなので、計画立てて脱出するって、すっごく楽しかったです。絶対誰にもばれないような脱出計画を何日もかけて練ることってないじゃないですか。 

――結局、バレなかった?

春野:部屋にいるときは、マイクが音を拾うので、坂本ちゃんと脱走のことを口に出さないようにしようって言っていたのに、坂本ちゃんが「次、いつ行く?」と言っちゃったんですね。そうしたらスタッフが聞いていて、「おまえら、なにしたんだ!!」ってものすごい形相で。それから脱出はもうできなくなりました。

――番組後は知名度も上がって、女優としても活躍することに。

春野:電波少年が終わってから1年くらいしか芸能活動をしていないんですけど、いろんな経験をさせていただけたのは楽しかったですね。それまで演技は舞台しか経験していなかったので、『救命病棟24時』『スタアの恋』(共にフジテレビ系)とか、ドラマに出させていただくことで、映像のお芝居を経験させていただけたのは、すごく面白かったです。

――順調に仕事が増えていたのに、なぜ浪曲師に?

春野:『電波少年』でデビューとなると、どうしても“東大卒のタレント”的なお仕事のオファーが多くなります。坂本ちゃんの合格発表の放送では30%を超えるような視聴率で、自分の実力じゃないところで、名前と顔がポンと売れてしまいました。

 私はお芝居をしたり歌を歌ったり、表現をすることを仕事にしたいと思っていて。タレントになりたいなら良かったんですけど、私がやりたいのは別のところにあったので、自分の人生を乗っ取られた気がしてつらかったんです。自分の人生を模索している時に、出会ったのが浪曲でした。これだ!と思いましたね。

【春野恵子(はるの・けいこ)】
7月22日生まれ。東京都出身。『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)の企画「電波少年的東大一直線」でブレイクし、その後、バラエティーやドラマ『救命病棟24時』(フジテレビ系)などで活躍。2003年に女流浪曲師・春野百合子に師事し、春野恵子となる。「春野恵子応援会」会員募集中(無料)。

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