国際情報

北京や上海のマンション価格 10年で4倍になっていた

上海の街並み

 中国の経済の行く末は予断を許さない。危機が叫ばれる一方で、大都市の不動産価格の再上昇も報じられる。拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が北京で開幕し、経済政策が大きな話題を呼んでいる。そのほとんどは国有企業の過剰生産の問題であったり、慢性的な赤字に陥っていながら政府の補助の下で生き残っている「ゾンビ企業」の整理整頓など、ネガティブなニュースであった。

 こうした話題はそもそも江沢民時代から続いていて、いわゆる古くて新しいテーマなのだが、ここにきて本格的にメスを入れるとなれば避けられないのは大量の失業者が社会にあふれるという頭の痛い問題だ。

 2月29日には中国人力資源社会保障部の尹蔚民部長が、「中国の鉄鋼業界と炭鉱業界がそれぞれ130万人と50万人をリストラと予測されている」と発言し、大きな話題となった。

 日本の新聞のほとんどは、鉄鋼や炭鉱といった業界がどれほど大量のリストラを行うのかに焦点を合わせて全人代関連のニュースを報じていた。

 毎年、大量の「中国経済崩壊予測本」が市場を賑わせる日本だけに、中国経済もいよいよどん底との印象が広がるのは仕方のないところなのだろう。

 そんななか春節明けの中国では、なぜかメディアは北京や上海といった大都市の不動産価格が急激に上昇しているというニュースを報じるようになっている。

 不動産価格については2014年に主要70都市のすべてで対前年比を下回るという現象が確認されてから、政府はそれまでの価格上昇抑制策を次々に緩和に転じていたので、その効果が表れたとも解釈されている。

 それにしても中国の不動産価格の変動は、改めて振り返っても凄まじいものであった。

 3月上旬の『中国経済週刊』(〈中国経済生活10年調査 北京と上海の不動産価格は過去10年で400%上昇〉)は、過去10年で北京や上海の不動産価格がどれほど高騰したかを数字で表しているのだが、記事によると北京は10年で380%の上昇。これは年平均で17.5%という驚異的な成長を続けてきたことを意味する。また同じように上海は、10年で384.6%。年平均17.6%という伸びが認められる。

 つまり、10年前に2500万円で買ったマンションがいまは1億円になったという幸福が、2つの都市の住民の上に降り注いだということになる。

 これが「爆買い」ができる理由にもなっているのだが、この経済減速期にも再び小さなバブルが起きているというのはさらに不思議なことである。

関連キーワード

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン