では、3社は主にどんな基幹ブランドを持ち、年にどのぐらい売れているのか。4月よりラインアップの一斉強化が図られる新商品とともに紹介しよう。

●サントリースピリッツ(2015年RTD実績=5759万ケース)
『マイナス196℃ストロングゼロ』/2750万ケース
『ほろよい』/1230万ケース
『こくしぼり』/313万ケース
『極キレ』(3月29日発売)……マイナス196℃の派生商品。レモン、ライムなど3種あり、アルコール度数は6%。350ml缶で税別141円

●キリンビール(2015年RTD実績=4710万ケース)
『氷結』/3310万ケース
『本搾り』/760万ケース
『ビターズ』/440万ケース
『氷結プレミアム』(4月5日発売)……シチリア産レモンとリオレッドグレープフルーツの2種。上質果汁を従来ブランドの2倍使用。アルコール度数はそれぞれ6%、5%。店頭想定価格は240ml瓶で198円

●アサヒビール(2015年RTD実績=283億円)
『辛口ハイボール』/200万ケース
『カクテルパートナー』/220万ケース
『もぎたて』(4月5日発売)……レモン、グレープフルーツ、ぶどうの3種。収穫後24時間以内に搾った果汁のみ使用。アルコール度数は9%。350ml缶で税別141円

 経済ジャーナリストの永井隆氏に、3社のRTD商品の評価と今後の展望について聞いた。

「RTD商品のトップブランドであるキリンの『氷結』は、後発組ながら焼酎ベースが当たり前だったチューハイをウォッカベースの新開発でヒットさせた立役者。いまでは若者から中高年層まで幅広い固定ファンを掴んでいます。値段も高いプレミアム版がどこまで支持されるか分かりませんが、しばらく氷結ブランド自体が揺らぐことはないでしょう。

 サントリーは飲み応えを求める男性から人気の『マイナス196℃』や、若者・女性向けの『ほろよい』、そして果汁感を高めた『こくしぼり』と、ターゲット層や想定される飲用シーンも違う主力3ブランドをさらに強化する戦略です。その他、ハイボールの種類も多く、今後もRTD市場を牽引していくと思います。

 そして、これまでRTD分野で出遅れてきたアサヒビールは、『もぎたて』を皮切りに、高い目標を掲げてブランドの拡充を狙っています。今後、サントリーとキリンの売れ筋商品にどこまで切り込むことができるか注目しています」(永井氏)

 市場調査会社の富士経済によると、RTD市場は今後も商品の改廃を繰り返しながらも伸長を続け、2020年には販売量で100万klの大台を突破し、販売額も3000億円に迫るものと予測されている。いずれ消費量でビールを逆転する――という時代が来るかもしれない。

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