モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、最強のデートカー、トヨタのアルファード/ヴェルファイアについて解説する。
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ご同輩諸君。かつて我々は若かりし頃、少しでも速くて高級なクルマに乗りたいと強く願い、それが叶うなら女断ちをしてもいい! くらいに思い詰めたものだ。しかし、今の若者はクルマ離れが著しく、「いつかはクラウン」などという言葉も古代語となって久しい。
そんな時代にあって、現在も多くの日本人に憧れを抱かせている国産高級車がある。トヨタのアルファード/ヴェルファイアだ。この2台、顔付きと販売店網が違うだけで、中身はまったく同じである。
「なんだい、ワンボックスじゃないか!」
出た!“ワンボックス”。確かに形としてはハイエースなどのワンボックスカーに似ているが、アルファード/ヴェルファイアは、「高級ミニバン」というカテゴリーに入る。あれをワンボックスと言ってしまった瞬間にオッサン扱いなので注意されたし。実はハイエースも若者に人気があるのだが、それについてはまた後日。
実はこの「若者」には、女性も含まれている。若い美女たちは、クラウンにはサッパリ憧れないが、アルファード/ヴェルファイアにはものすごく憧れる。「ゆったりしててサイコー。お姫様気分」(某美女)なのである。
そのせいもあって、アルファード/ヴェルファイアは驚くほど良く売れている。昨年1月に新型(3代目)になって以来、両車合計すると販売台数は毎月1万台近くに達する。平均約500万円もする高級車が月に1万台。クラウンの2倍以上だ。美女もカミさんも、アルファード/ヴェルファイアが大好きなのだ。
なぜかといえば、威嚇が効いて見栄が張れて安心で快適だから。女性がクルマに望むすべてがここにある。ちなみに「速さ」はない。アルファード/ヴェルファイアは最速の3.5リットルモデルでも280馬力。約2tある車重に対してパワフルとは言えない。しかし女性にとって速さはむしろ邪魔。ゆったり安全に走ってくれるのが最良なのだから、「速くない」のもプラス要因かもしれない。