近年、IoT(あらゆるモノにインターネットを組み込むこと)、フィンテック(Fintech/IT技術を用いた金融サービスや金融商品)、AI(人工知能)、ビッグデータなどが話題になっているが、それらの知識は幅広く横方向に知っておかねばならない。どれか1つの領域だけを学んで縦方向に詳しくなっても、「0から1」を生み出すことはできないからである。
さらに、知識は蓄えるだけでは意味がない。「使ってナンボ」である。ビジネスにおいては具体的な商品やニーズを見ながら、自分が学んだ知識を駆使して自分の頭で考え、目の前の問題を解決していかねばならないのだ。
しかし、人間は普通、自分の仕事や自分の業界に直接関わることを考えると思考が停止する。なぜなら「この部門を改革すると提案したら、あの部長が反対するに違いない」といった雑念が先に頭に浮かぶからである。「インヒビター」、つまり抑制作用が働いて、自由な発想ができなくなるのだ。
したがって、まずは他の仕事や他の業界をテーマにして課題克服、問題解決の方法を考えることを勧めたい。しばらくそういう思考空間で遊んでいると、意外なほど頭が柔軟に動くようになる。
※SAPIO2016年5月号