中国のファーストレディ、習近平国家主席夫人の彭麗媛さんが公務で移動するための専用車両に爆発物を仕掛けられるという暗殺計画が発覚した。だが、中国最高指導部の警護機関である党中央警衛局が犯人グループを逮捕し、暗殺を未然に防いでいたことが分かった。
犯人は武装警察部隊幹部らで、中国人民解放軍の30万人削減など習氏の軍事改革に不満を募らせていたという。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が報じた。
彭氏は3月初旬の早朝、公式行事に出席するため、自宅から専用車両で移動する予定だった。
ところが、党中央警衛局の彭氏担当の幹部が車をチェックしたところ、後部のトランクに仕掛けられている爆発物を発見したため、彭氏は予定をキャンセルしたという。
中央警衛局では、この数日前から武装警察が使用する無線で、「第一夫人」という言葉を繰り返す不審な対話をキャッチしていた。そのため厳重警戒態勢を敷き、無線電波を解析し、犯人グループも割り出していた。
犯人グループは昨年末まで北京軍区に所属していた軍人で、習氏の軍事改革の一環で武装警察部隊に異動させられ、不満を募らせていたという。
習氏は軍事改革を断行するなど軍内基盤を固め、反腐敗運動などで政治権力も増大し独裁体制を敷きつつある。そのような折も折、夫人の彭氏を狙った暗殺計画が発覚したことで、軍を中心に習氏への不満が高まりつつあることを示している。
それを象徴するように、中国では4月初旬、「171人の中国共産党員と名乗るグループによる、習氏の辞任を求める公開書簡が米ニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載された。書簡は「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にしている」としたうえで、中国共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えている。
3月4日には新疆ウイグル自治区主管のニュースサイト「無界新聞」にも、「忠実な共産党員」との署名で、「習近平は辞職せよ」と勧告する謎の書簡が掲載された。
このため「博聞新聞網」は米国の中国専門家の発言として、「習氏の今後の指導力強化に赤信号が灯りつつあるといえそうだ」と伝えている。