ビジネス

日本が取りっぱぐれた税金 ケイマン諸島だけで消費税7%分

ICIJによる「パナマ文書」ホームページ

 タックスヘイブン(租税回避地)の金融取引に関する大量の秘密ファイル「パナマ文書」が流出した。タックスヘイブンとは、バミューダやケイマン諸島、パナマなど、課税率が著しく低い、もしくはまったくない国や地域のこと。ここに子会社を設立して、その子会社との取引で所得・資産を移転させ、課税逃れ、資産隠しを行なっている企業は、世界的に少なくない。

 会社員時代にパナマにペーパーカンパニーを設立した経験を持つジャーナリストの若林亜紀氏はこういう。

「パナマの法律事務所の代理店が日本にあり、パナマに行かずとも、事務手続きはその代理店が全部やってくれました。資本金もなしで簡単に会社が作れるのです」

 なお、流出元となったパナマの法律事務所モサック・フォンセカは、タックスヘイブンの法律事務所としては世界4位の規模。つまり、パナマ文書が明かすのは、課税逃れの実態のごく一部でしかない。公認会計士で『〈税金逃れ〉の衝撃』の著書もある深見浩一郎氏はこう解説する。

「こうした税金逃れの手法はあくまで合法なので、アメリカの企業ではやって当たり前、やらないのは経営者の職務怠慢だという状況になっています。そのため、アメリカでは法人税収入が落ちており、オバマ大統領が『大きな問題』と指摘するなど、合法的にタックスヘイブンを利用できる現行制度の見直しを求める声も上がっています」

 日本も例外ではない。それどころか、アメリカに次いで世界第2位といわれるほど、課税逃れは膨大な額に及ぶという。

 実際、日銀が公表している国際収支統計によると、日本が取りっぱぐれてきた税金額はケイマン諸島に隠匿された分だけで、約14兆円に上るという。消費税1%分の税収が約2兆円といわれるから、これは実に7%分に相当する。当然、パナマなど他のタックスヘイブンを合わせた額はさらに大きく膨らむ。これらを納税させれば、消費増税の先送りどころか、減税が十分可能となる額となる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン