国際情報

北朝鮮の影のナンバー2 金正恩実妹が権力掌握の可能性は

金正恩氏と防衛部隊を視察する与正氏(KCNA/新華社/アフロ)

 北朝鮮の首都・平壌で開かれた第7回朝鮮労働党大会で、最高位ポストとして新設された「党委員長」に就任した金正恩(キムジョンウン)氏。改めて国内外に“独裁体制”をアピールする場となったが、新しい党人事でもうひとつ注目されていたのが、正恩氏の実妹である金与正(キムヨジョン)氏の処遇だ。

 現在、与正氏は朝鮮労働党の宣伝業務を統括する「宣伝扇動部副部長」の要職に就くほか、正恩氏の補佐や一般事務を担う党書記室でも活動しているとされる。

 コリア・レポート編集長の辺真一氏によれば、「いまや彼女は北朝鮮ナンバー2と称される“影の実力者”で、党指導部の幹部たちが最敬礼するほどの存在」だという。近年、正恩氏の国内視察に随行する姿も度々テレビに映し出されていた。

 今回、与正氏には党の指導部入りや政治局員への抜擢も噂されたが、結局はその下の「党中央委員」129名の中に名を連ねただけだった。前出の辺氏は、「まだ若いため、もう少し経験を積ませてからでも遅くないと判断したのでは」と、その理由を推測する。

 しかし、出世コースといわれる宣伝部で異例の昇進を遂げ、「正恩氏が他の誰よりも全幅の信頼を寄せている」(韓国紙記者)とされる与正氏とは、一体どんな経歴を歩んできた人物なのか──。

 韓国メディアなどで報じられている与正氏の情報を整理してみると、生まれたのは1987年前後で年齢は20代後半~30代前半とみられる。故金正日(キムジョンイル)総書記と高英姫(コヨンヒ)夫人との間にできた唯一の娘で、正日氏は異常なほど溺愛していたという。「生前、〈与正が女じゃなかったら後継者に据えたい〉と漏らすほどだった」(前出・韓国紙記者)。

 学生時代は兄の正恩氏と同じスイスのベルン公立学校に「ジョンスン」の名で留学。ダンス部に所属し、イラストを描くのが趣味だったとの学友談もある。

 その後、2000年に入り、正恩氏とともに北朝鮮に帰国。金日成総合大学で経済学を学んだ後、2010年ごろから朝鮮労働党内でさまざまな活動をスタートさせたと伝えられている。

「2011年12月、正日総書記死去後の追悼集会で、後継者となった正恩氏の後ろに立っていたため、以後、兄をサポートする役割を担うのではとの憶測が流れた。

 そして、2014年3月の最高人民会議選挙の際、投票場に現れた正恩氏に同行し、『党中央委員会の責任幹部』のひとりとして公式に紹介されたことから、党の重要な職に就いていることが明らかになった」(韓国紙記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン