「もともと極端に喜怒哀楽がないという自覚はあったんです。でも、さすがに息子の結婚式で、夫や娘が号泣しているときも、なんか他人事だった自分に気づいて、私、おかしいのかもと思いました。そういえば、息子が誕生した時も特別な感情がなかったし、さかのぼれば、結婚前に恋人と別れた時も悲しいと思ったことってなかったんですよね。たまたま医師の友人がいるので、ふとそんなことを話したら、アレキシサイミアの状態ではないかと言われました」(都内在住・派遣・56才)
アレキシサイミアは無自覚であることも多く、知らず知らずのうちに陥る。それゆえ「誰でもなり得る」と、片田さんは言う。
例えば人生を彩るはずの恋愛・結婚を「コスパ」で考えている人は危ないという。2015年に内閣府が公表した「結婚・家族に関する意識調査」によると、恋人のいない20~30代の男女の37.6%が恋人をほしくないと思っていると回答。その理由として最も多かったのが、「恋愛が面倒」というものだった。
「SNSでみんなとつながってはいたいけれど、自分の時間は趣味に使いたい。恋愛するのは面倒だし、努力したって必ずしも報われないし。要するにコストパフォーマンスが悪いんですよ」(21才・大学生)
逆に言えば、コスパがいいと思えば、恋愛したり結婚したりするが、そこに沸き上がる熱情はゼロ。関係がこじれれば「コスパが悪い」と、相手との関係をチョッキンと切っておしまい。そこには相手を慮る気持ちはまるでない。
※女性セブン2016年5月26日号