高須:完全に薬物を根絶するっていうことも世の中が本気になれば不可能ではないと思う。でも、実際にはそうならないのが社会っていうやつだからね。薬物で商売をしている裏社会の人たちもいるし、表の社会でも“薬物反対キャンペーン”みたいなものがあるから生活ができているような人もいるわけでしょう。ある意味、薬物があるおかげで、非合法組織だけじゃなく、カタギの世界にも“利権”が生まれちゃってるのかもね。これはもう仕方ないことだろうけど。
──いろんな意味で、薬物と社会が共存してしまっているというか…。
高須:それは良くないことなんだけど、それが現実だっていうことだね。うーん、難しい…。
あとは、薬物の影響を弱めるという意味では、オランダみたいにある程度のドラッグを認めて、共存を受け入れてしまうという方法もあるにはある。ソフトドラッグを解禁して、国がコントロールできれば、裏社会がのさばるのをセーブすることにもなるし。禁酒法時代にマフィアが勢力を拡大したのと同じで、違法薬物があるから非合法組織が潤うわけだから。あと、禁酒法がなくなったからといって、アルコール依存症患者が劇的に増えたわけでもないっていうこともあるんだよね。ちゃんとコントロールさえできていれば、中毒者を増やさないことも可能かもしれない。
まあでも、ドラッグ解禁論は、あくまでも「そういう可能性もあるかも」っていうレベルの話だよ。現実的にはさすがに難しいだろうな。
──たしかに、今の日本でドラッグを解禁するというのは、あまり現実味がないですよね。
高須:でも、そもそもの話をすると、どんな薬も最初は普通に使っていたものが多いんだけどね。もちろん危険性などを知らずに使っていたケースもあって、法律は後からついてくるっていう。スポーツ界のドーピングなんかもそうだよ。ちょっと前にテニスのシャラポアが禁止薬物を使っていたって話題になってたけど、あれだってもともとは禁止されてなかったんでしょ?
──「メルドニウム」という薬物ですね。2016年1月に禁止リスト入りしました。それまでシャラポアは10年にわたって医師から処方されていたそうです。