高須:もちろん理由があって規制するわけだけど、それでもやっぱり「これまでの10年はなんだったんだ?」ってなるよね。ある意味、薬物の規制は難しい点も多い。薬物の危険性をしっかり把握して取り締まるのは当然なんだけど、薬物だって使い方次第では悪いことばかりではない。規制による弊害も多いんだよ。
たとえば、日本ではモルヒネの取り締まりがかなり厳しいから、使うのが面倒くさいって感じてしまうお医者さんも少なくないんだよ。世界的にはがん患者にモルヒネを使うことは珍しくないけど、日本ではどうも最小限度の使用にとどめようという医者が多い。
それこそ、末期がん患者にちゃんとモルヒネを使って痛みを和らげてあげることは、まったくネガティブなことではないと思うし、患者さんにとってもいいことだと思う。残り少ない人生を激しい痛みとともに過ごすことは本当に辛いだろうからね。なのに、法的な煩わしさが理由で、モルヒネが使われないっていうのは、ちょっと違うんじゃないかなって思う部分もある。
これからも新しい薬はどんどん開発されていくんだから、いろんな規制が生まれてくると思う。でも、古くなってしまった法律や、現実に即していない厳しすぎる法律に関しては、しっかり見直す必要もあるだろうね。
──その一方で、中毒者を生み出さないために、物理的に入手できないようするための規制も必要なわけで、とても難しい問題ですね。
高須:そうなんだよ。だから、本当は国や警察がもっとしっかりコントロールする必要があるんだけど、そこも結局、いろんな“利権”がジャマをしているのかもな。
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薬物に関する持論を展開した高須院長。たしかに、法律が現実とフィットしていないせいで“逆効果”となっている可能性も否定できない。これまでの基準や取り締まり方を改めて見直すことも必要と言えそうだ。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)、『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)など。最新刊は『ダーリンは70歳・高須帝国の逆襲』(5月25日発売予定 小学館)