中国の李克強首相がこのほど、北京の名門大の双璧である北京大学と清華大学を訪問し、学生と「自撮り」をしたり、自身のイラストを描いた学生にその代金として、「学費の足しにするように」と100元(約1700円)を渡して激励するなど、細やかな配慮を見せたことが話題になっている。
日ごろは顔色も悪く、公務ではめったに笑顔をみせたことのなく、気難し屋として知られる李首相だが、「若い人々に囲まれて、本来の天真爛漫さが出た」との報道も出ている。
李氏は4月中旬、清華大学を訪問、同大100年の歴史を現した写真のパネルを興味深げにのぞき込んでいた。
そのあと、大学の教授陣と懇談し、第4世代原子力技術、新エネルギー車、次世代インターネットなど同大の重要な研究事業、応用状況について説明を受けた。
その後、大学の学部生ら授業を受けている大教室に移動。多くの学生に囲まれ、ご満悦の様子で、1人の学生がスマートフォンの自撮り用器具を見せると、さっと多数の学生が李氏の周りに集まり、Vサインをするなど、自撮り写真のために晴れやかな笑顔を見せた。
その後も外に出ると、待ち構えていた多数の学生らに歓呼の拍手で迎えられ、1人1人と握手。記念撮影にも気軽に応じるなど、上機嫌の様子。
李氏は午後に自身の出身校の北京大学を訪れ、現在の状況を大学の担当者に聞いた後、早速学生らの輪の中に入り歓談。
このなかで、じっと李氏をみつめて熱心に似顔絵のイラストを書いている学生に気づくと、彼に近づいて、イラストを見せてもらい、記念として所望した。学生が手渡すと、100元札を渡すなどの配慮を見せた。
学生は画家を目指すだけあって、李氏の特徴をとらえているほか、ちょっとユーモラスな感じで仕上がっていたという。
李氏は「私が入学した時代は文革が終わってすぐだったので、まだ社会が混乱しており、ずっと勉学に集中することは難しかったが、いまの学生はキャンパスライフを楽しんでいるようで羨ましいね」などと語っていたという。
学生は「日頃テレビで見ている李克強首相は気難しいとのイメージがあったが、実際に会ってみると、明るくて、よく笑う普通のおじさんという印象だった。普段はきっと政治で忙しいのでしょうね」などと李氏を気遣っていた。