──バブル期の状況と比較すると、今後、新築マンション価格はどうなっていくのか。
山下:もちろん、一定期間をかけて“売れる価格”への調整が必要になってくるでしょうが、下げれば売れるとも限りません。
東京カンテイによると、首都圏の新築価格は1984年には2401万円だったものが、1991年には6159万円まで上がって、バブルが崩壊しました。その後、価格は下がり年間供給も最盛期の7万戸台から3万戸台まで減少。価格も1999年には4000万円を切りました。しかし、下がっているうちは先行きの安心感がないので市場はなかなか動きません。
結局、バブル崩壊後は2000年代初頭に3800万円台、3900万円台で横ばいになって、ようやく売れ行きが回復。年間供給も急増して10万戸を超えたため、再び先高感が高まって売れるようになりました。そして、2008年のリーマンショックまでミニバブルが発生しました。
今回は2012年の価格上昇時に4500万円台だったので、少なくともそれと同水準か、それ以下まで下がらないと、なかなか購入意欲の拡大にはつながらないでしょうね。
──現状で無理なく買える新築マンションの価格が4500万円前後ということか。
山下:年収600万円、700万円の中堅クラスの会社員でも手が届く範囲といえます。若干の頭金があれば5000万円台から6000万円近くも可能でしょう。しかし、現在は住宅ローン金利が固定金利でも、1%程度で利用できる超低金利ですが、2年後、3年後だと2%以上に上がっている可能性も高い。
2%とすれば、借入可能額が減るので頭金があっても4500万円から5000万円までといったところが限度になるでしょう。多少の時間をかけてそのあたりまで下がれば、買えるようになるのではないでしょうか。
──多少の時間とはどのくらいか。
山下:バブル崩壊時には10年以上かかりましたし、ミニバブル崩壊後も3年かかっていることを考えると、今回も急激な変化というよりは、じわじわと潮目が変わっていく可能性があります。ただ、消費税の再引き上げが延期された場合には、様子見動向が2年間引き延ばされることになり、停滞感がさらに強まる可能性もあります。