フジゼミの勉強方法は、僕が呉服屋のおじさんに教わったのと同じく「イチからやり直す勉強」です。中には、分数や九九の計算から教え直した子もいました(笑い)。早稲田に合格した彼も、英語は「This is a pen.」からスタートしたんですよ。
他の塾と違うのは週に1度の「ホームルーム」。「なぜ大学に行くのか」を話したり、塾のOB生が自分の体験を話すこともあります。人生について考えることで、学生たちのモチベーションが上がる「最も大事な時間」です。
いまの教育には立ち止まりを許さない空気があります。ですが生徒たちはみんな「過去のどの時間も自分にとっては必要な時間だった」という。まっすぐ伸びる道を外れて、つまずいたり、寄り道したり、回り道したからこそ見える景色があるんです。
現役至上主義、新卒至上主義という「病」にとらわれている社会でも、「必ず道は開ける」と悩んでいる学生たちに伝えたい。本書には、その想いを詰め込みました。
【プロフィール】藤岡克義( ふじおか・かつよし):1975年広島県生まれ。國學院大學経済学部卒業。株式会社大林組に就職後、2004年、広島県福山市に学習塾「フジゼミ」を設立。「学歴・経歴・年齢は不問」をポリシーに、高卒認定試験、看護師など各種資格試験、大学受験指導を行なう
※週刊ポスト2016年6月10日号