芸能

笑点 昇太、三平の抜擢は番組発展のための「壮大な計画」

昇太の司会者起用などで話題の『笑点』(公式HPより)

 春風亭昇太の司会者起用、林家三平の新メンバー抜擢などで、今また注目を集めている『笑点』(日本テレビ系)。これまで15年間、同番組を取材してきたコラムニストのペリー荻野さんは、“新しくなった笑点”をどう見たのか? 以下、ペリー荻野さんの解説だ。

 * * * 
 そんなわけで、毎週大騒ぎの『笑点』。5月22日に『笑点 歌丸ラスト大喜利スペシャル』が平均27.1%、翌週に生放送で新メンバーと24時間テレビマラソンランナーを発表した回は28.1%(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、大入り高視聴率を記録。低視聴率バラエティーが乱立する昨今、局側はさぞかしウハウハVサインだろうと想像する視聴者も多いに違いない。

 しかし、ここ十五年間たびたび番組を取材してきた私は少し違う印象を持っている。それは番組を維持し、さらに発展させていくための壮大な計画と努力を『笑点』に感じるからだ。

 まず、六代目司会に春風亭昇太が決まったこと。後出しジャンケンのようで言いにくいが、これは十分に予想できた。というのも、昇太は2006年『笑点』レギュラー加入前に『BS笑点』などの総合司会を担当。暴れん坊の多い若手落語家たちをきっちり仕切っていた。当時はまだ林家たい平もこちらの番組にいて、おでこをピカピカ光らせてやんちゃぶりを発揮。横浜にぎわい座の収録に立ち会った際、どんなにハチャメチャな展開になっても、最後はメガネを光らせてまとめきる昇太の力技には関心したものだ。思えば、この時期から、司会者として才を認められ、「どこが昇太の突っ込みどころとなるか」も含めて着々と養成されていたのだろう。

 レギュラー放送になった6月5日「大喜利」では、さっそくメンバーがジューンブライドの花嫁に扮して、「この人が司会だとこういう問題が増えるんだろうな」と独身の司会者を翻弄する回答を連発。木久扇は踊り出すわ、好楽は歌いだすわ。どうにも止まらない。この勢いは、メンバー全員からの昇太への洒落たエールなのだ。
 
 そして、新メンバー林家三平。局側の強い要請で、発表当日の生放送まで三か月間も妻にも母にも内緒にしていたという三平に、カメラは密着。「お袋は怒っているに違いない」とビビる三平だったが、帰宅して玄関を開けたとたん、母の海老名香葉子さんは「わああああ」と大喜び。妻の国分佐智子は涙ぐむというリアルな展開に。そして三平は亡き父・先代林家三平の仏壇に神妙な面持ちで報告する…。この様子はすべて6月5日放送の番組で放送された。玄関開けたら日本一有名(かもしれない)嫁姑カヨコとサチコが大興奮。こんな画ができるのは、林家三平以外にいない。

 これから座布団が十枚たまると「新時代の『笑点』にふさわしいものすごおおおい」賞品が贈られるという。実はこの「座布団十枚」には重大なポイントがある。それは「ひとりで座るのはほぼ不可能」ということ。以前、収録現場の後楽園ホールで実際に十枚積んでもらい、座ってみるという取材をした際、厚さがある上に(ちなみに大喜利の座布団は正方形ではなく、客席に向かって横長長方形の特製)不安定なのでとても座ることができず、歌丸師匠に直接座り方を指導してもらったことがあった。コツは隣の人に手を添えてもらって、ぴょんと飛び乗ること。これは呼吸を合わせないとなかなか難しい。大喜利メンバーはそうした連携、呼吸をよく心得ているんですな。今度、座布団十枚が実現したとき、メンバーの連携が垣間見えるはずなので、しっかり見つめたい。

 スタート時には、若手落語家の活躍する番組だった『笑点』は、今や伝統芸能の域になりつつある。昇太司会就任と45歳の三平加入は、51年目を迎え、100周年を目指す『笑点』の末永い継承への布石であることは間違いない。100周年の時には、今、一番若い三平も90代半ば…。そう思うと、先は長い。

関連記事

トピックス

6年ぶりに須崎御用邸を訪問された天皇ご一家(2025年8月、静岡県・下田市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下と愛子さま、爽やかコーデの23年 6年ぶりの須崎御用邸はブルー&ホワイトの装い ご静養先の駅でのお姿から愛子さまのご成長をたどる 
女性セブン
「最高の総理」ランキング1位に選ばれた吉田茂氏(時事通信フォト)
《戦後80年》政治家・官僚・評論家が選ぶ「最高の総理」「最低の総理」ランキング 圧倒的に評価が高かったのは吉田茂氏、2位は田中角栄氏
週刊ポスト
コンサートでは歌唱当時の衣装、振り付けを再現
南野陽子デビュー40周年記念ツアー初日に密着 当時の衣装と振り付けを再現「初めて曲を聞いた当時の思い出を重ねながら見ていただけると嬉しいです」
週刊ポスト
”薬物密輸”の疑いで逮捕された君島かれん容疑者(本人SNSより)
《28歳ギャルダンサーに“ケタミン密輸”疑い》SNSフォロワー10万人超えの君島かれん容疑者が逮捕 吐露していた“過去の過ち”「ガンジャで捕まりたかったな…」
NEWSポストセブン
公選法違反の疑いで刑事告訴され、書類送検された斎藤知事(左:時事通信フォト)と折田楓氏(右:本人SNS)
“公選法違反疑惑”「メルチュ」折田楓氏の名前が行政SNS事業から消えていた  広島市の担当者が明かした“入札のウラ側”《過去には5年連続コンペ落札》
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン