芸能

Eテレ『びじゅチューン!』の不思議な魅力を作者に迫る

「びじゅチューン!」のHP

 誰もが知る絵画や彫刻、建築物などの美術作品。それが、アーティストの井上涼さんの手にかかると、モナ・リザがお局OLにされてしまったり、ムンクの叫びがラーメン店の店主になったり。

 そんな驚くべきストーリーが仕立てられ、耳に残る歌とアニメで紹介されるというのが、『びじゅチューン!』だ。ストーリーはもちろん、アニメーション、作詞、作曲、歌もアーティストの井上涼さんがすべてこなす。

 そのシュールな世界観は海外でも評価が高く、5月にドイツ・ミュンヘンで開催された青少年向け番組の世界的コンクール『プリ・ジュネス』の7~10才向けのノンフィクション部門で、同番組が『オフィーリア、まだまだ』でベスト3に選ばれた。

 絶望して入水したオフィーリア。「そんな彼女が“まだまだ頑張ろう”って泳ぎ出したら? 人間の底力を描き、見た人が前向きな気持ちになったらいいなと考えました」と井上さんは語る。

 ここまで聞いただけで、これまで見たことのないユニークな番組であることはわかるだろう。この独自の世界観はいかにして生み出されるのだろうか。

「作品を見た第一印象を大切にしています。“(この絵の中の人物)なんか意地悪そうだな”とか、直感を生かすことが多いんです。でも、作品の構図やテーマから離れすぎず、『言われてみればそうかもね』と共感してもらって、オリジナルの美術作品を好きになってもらうのがゴールです」(井上さん、「」以下同)

 一度聞いたら、なかなか耳から離れない歌は、Jポップがベース。Jポップには、ロックやラップなど、いろんな要素が入っていて親しみやすく、頭に残りやすいのだという。

 そんな創意工夫に、視聴者の反応は?

「下は2才、上は70代のかたからも反響をいただいてます。私の作品を通じて、“敷居が高かった美術に親近感がわきました”と言われたのが、いちばんうれしかったですね」

 今、巷では“Eテレがいちばん冒険した番組を作っている”と好評価だが、その中でも群を抜くこの番組。時価ウン億円といわれる名作を前に、なんだか厳かな気分で鑑賞すべきだと思い込んでいたけど、芸術の新しい眺め方、知れた気がする!

※女性セブン2016年6月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン