コラム

日本のモノづくりの巻き返し 中堅・中小企業にも波及か

 今年前半の相場はテーマ性を持った中小型株が物色される展開が続いたが、「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表、CIO)によると、今後は景気回復を先取りした「大型株の反転シナリオ」も想定されるという。そうした中で物色対象となる銘柄にはどんなものがあるのか。藤野氏が解説する。

 * * *
 今後の相場で要注目なのは大型優良株ばかりではない。市場の注目度がさほど高くない、いわば“手垢”のついていないテーマはまだある。

 たとえば私が興味深く見ているのが、日本の製造業復活に伴って確固たる業績向上が見込める、ITや機械分野で技術を持つ中堅・中小企業である。

 一例を挙げておくと、東芝は経営再建に向けて、有望と目されてきた医療機器子会社を売却し、半導体事業に活路を見出そうとしている。そのための設備投資は年間2000億円規模とされ、関連する中堅・中小企業に資金が投下されるのは必至の情勢だ。

 同じく経営再建中のシャープも台湾の鴻海精密工業とテレビの共同開発を進める予定で、それを含めた新規事業に投じる設備投資額は数千億円規模に上る見通しだ。それが関連する中堅・中小企業の業績に大きなインパクトをもたらすに違いない。

 東芝やシャープはいずれも経営危機によって“選択と集中”に目覚めさせられたことになるが、そうではなく、自発的に目覚めて成長分野へ資金を集中投下する日本の製造業は今後いくつも出てくるだろう。しかも、そのような設備投資は景気や為替動向といった外的要因に左右されず、それを受注する中堅・中小にとっては確実にキャッシュが入ることで間違いなく収益につながる。つまり、大企業が集中投資する先に「お宝」は潜んでおり、設備投資を通じて日本のモノづくりの巻き返しを支える中堅・中小企業にこそ注目すべきなのだ。

 このように「日本の製造業の覚醒」は今後大きなテーマになる、と私は見ている。

 もちろん、まだ市場の注目度がさほど高くないため、銘柄選別には一手間も二手間も必要となる。たとえばインターネットや会社四季報CD-ROMなどで「東芝向け」「シャープ向け」といったキーワード検索を重ねたり、日々のニュースに目を凝らしたりすることも求められるだろう。

 そして、そのような努力を惜しまなければ、大型優良株の値動きを上回るような、半年で株価3~5倍の上昇も期待できる「お宝銘柄」を見つけ出すことも決して不可能ではないはずだ。

※マネーポスト2016年夏号

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン