しかし、日本は有償で人間や荷物を運ぶ時は細かくて厳しい法規制がある。たとえば、自家用車を使うことはできないし、旅客自動車運送事業を行なう場合、運転者は第二種運転免許を保有していなければならない。だから日本ではウーバーのサービスが拡大しないのだ。あるいは、荷物の運送事業を自動車や三輪以上の軽自動車、二輪の自動車(※)を使って行なう場合は貨物自動車運送事業法の規制対象になる。
【※「二輪の自動車」とは125cc以上のバイクなので、125cc未満の原付二種や原付、自転車を使った荷物の運送事業は法規制から除外され、運送業の許可などは必要ない】
アメリカでは、帰省などで長距離ドライブする時は、タクシーではなく、同じ目的地に向かう個人の自家用車に相乗りすることが当たり前になっている。ネットで同乗者を募集し、ガソリン代などを割り勘にして交代で運転するのだ。しかし、日本でそういうことをタクシー事業者以外が有償でやったら、いわゆる「白タク」(自家用車を使い無許可でタクシー営業を行なっている車)とみなされ、違法行為になってしまう。
だが、今後はこれらの規制を大幅に緩和するなり、新しいルールを作るなりして、アイドルエコノミーとシェアビジネスの拡大を後押しすべきである。
とにかくアイドル(施設や人間などの空き)は、すべて商売になるのだ。この領域を開放しなければ、日本はシェアビジネスでも世界に取り残されてガラパゴス化してしまうだろう。
※週刊ポスト2016年6月24日号