また、手術においては、ラジオ波や超音波治療などメスを使わない治療法もある。

「ラジオ波は電極針を患部に刺し、熱でがん細胞を死滅させる治療法。超音波治療も、超音波をがんの部分に集めて熱で焼くという方法です」(田辺さん)

 抗がん剤やホルモン治療薬、分子標的薬など化学療法でも新しいものが出てきている。例えば、HER2陽性に効く「ハーセプチン」という薬は、移転しやすく再発しやすいといわれていた「HER2陽性タイプ」の乳がんにおいて再発が減ったというデータもある。

 一方で自身の体がもともと持っている“免疫力”を引き出す「免疫療法」と呼ばれる治療法も研究が進んでいる。

「免疫チェックポント阻害剤、オプジーボと呼ばれる薬です。私たちの免疫に抵抗するがん細胞の働きを抑えて、免疫力を上げることでがん細胞への攻撃力を高めるといわれています」(田辺さん)

 ただ、オプジーボは年間3000万円と高額な費用がかかる。しかし効果が認められれば保険適用となる日がやってくるかもしれない。2011年には、それまで1錠1万円といわれていた分子標的薬が保険適用となり、多くの女性を救ってきた。

 病院や病状によって異なるが、ハーセプチンは年間約80万円、四次元ピンポイント照射は約300万円、ラジオ波は約15万円が目安。これらはいずれも最近になって保険適用され、治療の選択肢を大きく広げた。

 何より期待できるのは、樹木の元気ぶり。彼女が「全身がん」と発言したのは2013年。それから3年経った現在も、出演した映画『海よりもまだ深く』が公開中など、精力的に女優として活躍を続けていることこそが、乳がん治療の進歩の証明となるだろう。

※女性セブン2016年7月7日号

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