さらに共産党が最近始めたのが「マイ名簿」という取り組みだ。5年ほど前、志位和夫・委員長が「個々人のつながり名簿をつくれ」と指示を出し、党員1人1人が持っている友人や町内会、趣味の集まりなど共産党の活動とは別のネットワークを名簿化したものだという。
「マイ名簿のいいところは従来の支持者カードや後援会名簿と違う人がピックアップできること。新たな支持層獲得につながっている。民青(民主青年同盟)の学生さんたちはSNSを積極的に活用してマイ名簿をつくっています」(同前)
創価学会員が「信心」なら、共産党員は「イデオロギー」のために一心不乱に選挙に邁進するのだから、どちらも組織力が強いはずである。
しかし、選挙のライバルである両党は、共産党が勢いを増せば公明党が票を食われ、自民党の選挙マシンが弱体化するという関係にある。
本誌6月24日号では公明、共産、自民推薦の3人の候補が大接戦を演じている神奈川選挙区で、安倍政権の大黒柱、菅義偉・官房長官が自分の後援会を大量動員して公明党候補の決起集会を開き、テコ入れしていることを報じた。
自民党候補そっちのけでそこまでやるのは「公明候補が共産候補に敗れることにでもなれば、今後の自公選挙協力に大きな亀裂を生む」(創価学会のベテラン選挙担当)ことを恐れているからに他ならない。直近の自民調査によると、菅義偉・官房長官のテコ入れによって公明と共産候補がダンゴ状態から抜け出した。
※週刊ポスト2016年7月8日号