さらに政党交付金もあるので、国会議員1人あたりにかかっているコスト、すなわち国会議員が使っている税金は1人あたり年間1億円を優に超える。議員会館や議員宿舎の運営費、議員宿舎と国会を往復する送迎車、東京と地元選挙区を往復するための「JR無料パス」「航空機クーポン券」なども税金で賄われている。
首長にしても、前々任の石原慎太郎・元都知事は都庁に出勤するのは週の半分もなかったと言われているが、それでも年間約2500万円の給料を受け取り、海外出張も舛添前都知事と同じような“大名行列”だった。ファーストクラスや高級ホテルのスイートルームの利用は、たぶん石原元都知事時代からの慣例を引き継いだのだろう。
ただし、国会議員や首長は意外と裏の利権は少ない。たとえば、甘利明・前経済再生担当相は大臣室で業者から現金を受け取り“口利きワイロ”疑惑(斡旋利得処罰法違反の疑い)で告発されたが(嫌疑不十分で不起訴処分)、TPP交渉を一手に引き受けていた重要閣僚でさえ、その程度の利権をリスク覚悟で漁っていたことになる。
※週刊ポスト2016年7月8日号