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難病のALSを対象に肝細胞増殖因子を投与する治験開始

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が障害されて、脳からの「手足を動かせ」などの命令が伝わらず、筋肉が痩せて筋力低下する神経変性疾患だ。筋萎縮が進行し、発症から3~5年で呼吸筋マヒによる呼吸不全で死亡する。

 身体の感覚や視力・聴力、内臓機能などは保たれるため、最も過酷な神経難病といわれている。根本的治療法はなく、現在は対症薬とリハビリテーションが主な治療だ。

 現在、より効果の高い治療薬として注目されているのが肝細胞増殖因子(HGF)である。HGFは肝臓だけではなく、全身に存在しており、細胞増殖や血管新生、強力な神経保護と栄養因子としての働きもする。東北大学病院神経内科の青木正志教授に話を聞いた。

「肝臓は唯一、一部を切り取っても再生できる臓器です。この再生に関わっているのがHGFで、1989年に大阪大学の中村教授が発見しました。HGFは神経細胞に直接作用するだけでなく、神経の近くにあるグリア細胞が弱るのを守る働きもあることがわかってきました。その上、HGFを遺伝子組み換えで大量に培養し、高純度に精製する方法で組み換えHGFタンパクの創薬にも成功しました」

 青木教授は、この薬をALSモデルラット(家族性ALSの原因の一つである変異遺伝子があるラット)に投与したところ、投与しないラットに比べ1.63倍も生存期間が延びるという結果を得た。それを受け、2011~2014年にかけて、15人のALS患者にこの製剤を投与し、安全性確認を行なった。そして、効果を検証する第2段階(第2相)の治験が、この5月から始まっている。

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