それまでの私は、自分の“掃除したい”という気持ちが優先していて、そこまで見ていなかった。なるほどな~と思ったんです。でもね、人間って、性格はなかなか変わるものじゃないと思うの。“はい、そうですか”って、すぐ体が動く人がいたら、それはうそ(笑い)。最初はやさしい“真似”です。全国大会まで2か月しかないから、必死で特訓をしましたよ。鈴木常務もつきあわせて(笑い)」

 結果、全国大会では、見事1位を獲得した。日本と中国の違いを肌で知る新津さん。だからこそ、その個性が、会社のカンフル剤となっている。

「中国の人は、いいはいい、ダメはダメとはっきり言うからわかりやすい。ですが日本人は、いいもダメもはっきり言わないからわかりづらいの。教える時に、“わかった?”って聞いても、“う~ん…”ってどっちにもつかない返事をする。もう1回やらせると、やっているうちに、“ここがちょっと自信ない”とか言い出すの。だから、“わからないことは言わないと!”って叱るんです。

 でも、一緒にいるということは、一緒にやりたいという気持ちがあるってことじゃないですか。だから、自分に自信がない子には、とにかく声をかけてあげるんです。そうすれば彼らなりの範囲で努力してくれるようになるし、たとえいいリーダーになれなかったとしても、いい作業員にはなれるから。みんな私みたいにズバズバしゃべる人じゃないから、聞き出してあげるのも必要かなと思うんです」

 職場の対人関係に悩んだスタッフが会社を辞めたいと言った時には、「会社は納得したかもしれないけど、教育係だった私にはまだわからない。納得するようにちゃんと説明しなさい」と、一喝したこともある。

「なんで自分だけで抱えちゃうのよ。上司に話したりして、誰かと一緒に考えればいいじゃない。その人が嫌だからって逃げていたら、次の会社でも同じことになる。どこまで頑張るかは本人次第だけど、何かあったら私に直接言ってくればいい。そう言ってあげた彼は、まだ一緒に働いています(笑い)」

 はっきりものを言うが、そこにはやさしさがたっぷり。新津さんから見て、日本人はどう映るのだろうか?

「日本は、世界中でいちばんやさしいとか、サービスがいいと認められていますよね。でも今、果たしてそうかなという疑問があります。やさしさが少なくなってきてるんじゃないでしょうか。

 思いやりとかやさしさは、おじいちゃんとかおばあちゃんとかの上の世代から、お父さんお母さん、孫と次の世代に受け継がれていくもの。核家族で、一緒に暮らしていないからかもしれませんけど…。40~50代の世代も余裕がないように感じます。清掃をしていてご苦労さまと私に声をかけてくれるのは、年配の人がほとんどです」

※女性セブン2016年7月14日号

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