騒音問題に詳しい八戸工業大学土木建築工学科教授の橋本典久さんが言う。
「今後、ご近所トラブルはますます増えていくと思います。1990年代後半から増えている背景には、まずは核家族が増え、テレビゲームなどが始まって人とかかわらなくても楽しめる環境ができてきたんですが、当時30~40才前後だった人たちが今50代、60代になっています。
人間関係の希薄さが問題視されるんですが、その後はパソコンやスマホの普及でますますそれが加速しましたよね。そのなかで社会全体が煩わしさなどに耐える力がなくなってきているように感じるんです。高齢者も若い人もそんな社会の中で、閉塞感や孤独感を募らせていますから、やはりご近所トラブルは増えていくことになるでしょう」
ご近所を避けていれば、トラブルに巻き込まれないというわけでもない…。私たちはどうしたらいいのか?
シニアライフアドバイザーの末積洋子さんは「シニアは地域デビューが大事」だと言う。
「特に男性です。女性は子供を通じて地域とかかわりを持つことが多いですが、男性は仕事をしているときは妻に家のことは任せきりで、リタイア後はなかなか近所づきあいができないんです。でもそうした変化を受け入れて、地域とつながりを持とうという心構えでいることはなにより大切です。
町内会デビューをする。老人会デビューをする。グループでなくとも、例えば隣の人に自分から挨拶をしたり基本的なマナーを守る。おはよう、こんにちは、そしてありがとうございますという感謝の気持ちを心がけることができれば、ご近所トラブルもこじれることはないんじゃないでしょうか」
※女性セブン2016年7月21日号