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シニアのご近所トラブルは町内会デビューで回避を

 隣人トラブルが増えている。総務省「公害等調整委員会年次報告」(2004年度)によると、「家庭生活」に関する苦情件数は年々増加し、1996年には5620件だったが2003年には1万3503件に倍増した。

 不動産コンサルタント「ROSSOコンサルタンツ」の花咲圭祐さんは「騒音・臭気に関するトラブルは解決が難しい」と話す。

「騒音問題でも警察や市区町村の窓口、マンション管理会社や自治会に相談すれば注意はしてもらえますが、効果がないこともしばしばです。実際に諦めて持ち家を手放した人もいます。これらの問題は改善されるまでつきっきりで対応してくれることがないのが現状です。本当に困っているときに、解決してくれるところがなかなか見つからない。だからご近所トラブルはこじれるんです」

 しかしながら、もしもご近所トラブルに見舞われたときには、やはり第三者の介入なくしては解決への一歩は踏み出せない。弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士は「当事者間の問題にしないことが大事」だとアドバイスする。

「誰かにけがをさせられた、物を傷つけられたといった刑事事件に関係する内容なら警察に相談するのがいいでしょうし、損害賠償を請求したい、騒音をやめてほしいなど民事の範囲にとどまるものでしたら市区町村の市民生活課や弁護士への相談となります。判断が難しい場合にも、どこでもいいので相談するのが大切です。

 また、単独で相談されるよりは、複数で相談されるほうが状況の深刻さを認識してもらいやすいです。お隣が奇声を上げてうるさいといったケースで警察が出動して、精神疾患であり自傷他害の恐れがあったので措置入院をとったという例もあります」

 ある不動産会社が行った調査で、「隣人の名前がわからない」と答えた人は8割にものぼったという。かつては、引っ越し蕎麦の風習もあり、手土産を持って近所を回ったものだが、そんなことをする人は今や少なくなった。公開中の映画『クリーピー』でも、主人公夫婦が新居へ引っ越すや、手作りチョコレートを持ってご近所へ挨拶をしにいくも、「そういうのやってないのよね。だって義理ができるじゃない」と拒絶されるシーンが描かれている。そしてお隣の父娘が、実は父娘ではなかったという顛末も…。

 もめるくらいなら、最初からかかわらない。煩わしいから探らない。踏み込まない。そんな社会が、「暴走老人」「孤独死」という新たな問題を生み出したのかもしれない。

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