スチームボートがいなくなると、崖を登ってくるウシガエルはどんどん増えていきました。危険を感じたプロメテウスは「三戒の破棄」を提案します。しかしナパージュのツチガエル全員による多数決で、「三戒の破棄」は否決されました。その様子を見ていたロベルトは「今日ほど感動した日はない!」と叫び、平和を愛するツチガエルたちの美しい心にソクラテスも胸が詰まりました。
それからもウシガエルはどんどん増えていきました。そして、ついに事件が起こります! はたして「三戒」で美しいナパージュは守られるのでしょうか?
最後に少し補足しておきましょう。JAPAN(日本)を逆から読むと、「ナパージュ」になります。ハクトウワシはアメリカの国鳥であり、シンボルです。嫌われ者のハンドレッドは「百」のこと。日本国憲法第9条は「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を宣言しています。
作者がこの寓話を通じて何をいいたいかは明白でしょう。しかし、作者の主張が全面的に正しいとは限りません。何が正しいのか? 日本はどうするべきなのか? 読了後、じっくり考えさせられる一冊です。
※女性セブン2016年7月21日号