国内

政治屋に大甘な国民 「歯舞」が読めない担当大臣でもOKか

政治家のモラルが問われる Rodrigo Reyes Marin/AFLO

 参院選や東京都知事選が迫っているが、「モラルのない政治家たちに国民はもっと怒るべき」と指摘するのは、ジャーナリストの落合信彦氏だ。

 * * *
 かつてゴルバチョフ政権で外相を務めたエドゥアルド・シェワルナゼは、私のインタビューに対し、「政治家は血の通った人間であり続けなければならない。政治とは人間なのです。人間性なのです」と語っていた。ところがいまは、「政治とはカネだ」という思想に囚われている議員ばかりになってしまった。

 メディアの罪も大きい。大手新聞社の社長や幹部たちは安倍との会食を重ねている。「総理大臣とメシを食っている自分」に酔っているのだろうが、権力を監視すべき役割のメディアのトップが仲良く一国のリーダーと食事をするなど、他の先進国ではありえない。

 国民が投票の際に判断材料にすべき「安倍政権の検証」も、メディアはまったくやっていない。どんな政策目標を掲げ、どれだけの予算を使ってどんな成果が得られたか。あらゆる企業で当たり前に行われている検証作業が、一切なされていないのだ。

 もっと言えば、メディアは、国会議員一人ひとりが任期中に何をしてきたか、どんな発言をしていたか、国会でどんな議論をしていかなる成果を得られたのか、徹底的に検証し、国民に伝えるべきだ。

 そうすれば、ほとんどの議員が、国会に出席していても海外視察を繰り返していても「何の成果も得られていない」ことが一目でわかるだろう。現職の政治家を選挙で全部落とせば、少しはキレイになるはずだ。

 メディアだけではなく、国民自身の責任も指摘しておかなければならない。もしアメリカだったら、「違法性はないから辞任しない」などといった舛添(要一)に対しては、都議会であんなに揉めるまでもなく市民に怒りが広がり、都庁がデモで取り囲まれ、あっという間に辞任に追い込まれただろう。

 甘利(明)秘書が不起訴になったことも同様だ。いつの間にか、日本国民は政治屋に対して大甘になってしまった。

 沖縄北方担当相の島尻安伊子が「歯舞群島」の「歯舞」を「ハボ……えーっと、何だっけ」と読めなかったことについても、国民はただ笑っているだけで、辞めさせようという動きにはならない。本来なら「そんな教養も素養もない人間に国民の未来は託せない」と辞めさせるべきだろう。

 国民は、こんな政治にもっともっと怒るべきなのだ。

※SAPIO2016年8月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン