いまや体罰は「絶対悪」の時代である。しかし、戸塚ヨットスクール校長で、過去の指導中に生徒が死亡したことで非難を浴びた戸塚宏氏は、今でも体罰肯定論者である。その真意はどこにあるのか。ノンフィクションライターの中村計氏が訊いた。
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今も、戸塚ヨットスクールは存在している。100人もの訓練生を預かっていた時代もあったが、今はわずか8人だ。昔は中学生ぐらいが中心だったが、今はいちばん下が高校生で、いちばん上は40歳代である。
「50歳過ぎてから親に連れてこられるやつもいるよ。マスコミのせいよ。戸塚ヨットスクールに入れるような親は鬼だっていう書き方をするでしょう。だから、精神科やらフリースクールに行って、でも何ともならなくて、最後の手段としてうちにくる。その頃には、40歳とか50歳になってる」
5年前から、3歳から12歳までの幼児を対象に一週間前後の合宿「戸塚ジュニアヨットスクール」をほぼ毎月、開催するようになった。
「結局、教育は幼児からやらんと手遅れなんだということがようわかった。幼児のときにきっちりやれば、あとは自分で自分を伸ばすことができる」
──著書には、体罰は肯定しているけど、事件後は封印した、とありました。
「封印なんかしてないよ。違法じゃないんやから。そんな法律はない。体罰禁止は学校教育法の中にあるだけで、民法の中にはないんや。体罰を使った方が、この子たちはうまくなるということを知っとったもんで、うちは学校法人にせず株式会社にしたんや。でも、そうしたらマスコミは株式会社が教育をやるのはけしからんと言う」
──著書には、もう手は出していないと書かれていましたが。
「してない、と言っとかないと」
──今回の記事で、今の発言を書いてもいいんですか。
「いいですよ」
──子どもを預けに来た親には体罰を行うこともありますと言う?
「親に対しては一切口を出すなって言う。うちの教育者たちはプロ中のプロやぞいう自負がありますから。うちのスタッフに比べたら、ほかの教育者なんてみんな素人よ。親は口を出さない。これが条件。口を出すんだったら、最初から預からない」