2002年に国公立大学への現役合格者を前年の6人から106人に増やし、「堀川の奇跡」と称された京都市立堀川高校は、入試時に内申点を重視しないという方針を打ち出し、大成功した。
そもそも中学2、3年生は思春期の真っただ中。子供にとって激動の時期であり、親や先生が良しとする価値観を疑って反抗し、自分の考えで行動して失敗を重ね、そこから多くのことを体験的に学ぶ時期である。
人格形成にとって重要なこの時期、内申書にとらわれて窮屈な思いをし、理不尽な教師に反論できず、精神的な無力感にとらわれるのは、生徒の将来に大きなマイナス要因となる。 15歳の春に一斉に高校入試を行う日本の学校制度は世界的に珍しいものだ。「個性尊重」と言いながら、画一的な評価を学校、教師、親や生徒に強いる「内申書狂騒曲」はいい加減、見直すべきである。
【Profile】
おおたとしまさ●1973年東京都生まれ。麻布学園(中高)卒。東京外国語大学中退。上智大学英語学科卒。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立。育児・教育に関する執筆・講演活動を行う。『ルポ塾歴社会』(幻冬舎新書)ほか著書多数。
※SAPIO2016年8月号