国内

個性尊重と言いながら画一的評価を強いる内申書は見直すべき

「内申書」のプレッシャーは侮れない AFLO

 高校入試の仕組みによって、教育現場で奇妙な現象が起きている。内申書で良い点を取るために中学生たちは授業で挙手をし続け、学級委員長や生徒会長のポストを奪い合っているというのだ。育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、現在の内申書によって起きている歪みと、改善策について解説する。

 * * *
 高い内申点を得るためには、定期テストで高得点を取ることも大切だ。そこで多くの学習塾は高校入試対策とともに、「二枚看板」として中学の定期テスト対策を行う。

 高校入試に向けては各自の志望校に応じた本質的な勉強が必要だが、定期テスト対策は試験範囲に限った勉強で目先の点数さえ取れればいい。そう考えた塾が目をつけたのが中学ごとの「過去問」である。

 多くの中学では例年、同じ教師が定期テストを作成するため、問題が似たり寄ったりになる。そこで塾は卒業生などのツテをたどり、過去の問題用紙を集めて傾向を研究する。奇抜な手段ではなく、地域密着型受験塾の多くが採用する戦略である。

 だが、それが行き過ぎて2014年に事件が起きた。名古屋市の学習塾経営者が「情報公開制度」を利用して全国の自治体から公立中学校・高校の定期テストの問題と解答を入手し、それらを1科目200円でネットを通じて販売したのだ。

 過去問を使った定期テスト対策は、学習の達成度を測るそもそもの目的から外れる。しかも情報公開でただでさえ忙しい日本中の中学校教員らの手を煩わせたうえ、入手した問題を販売するとは、違法ではなくとも教育者としてのモラルが厳しく問われるはずだ。

 ひとつの改善策は、各高校が自由に内申書の評価方法を決める制度にすることだ。例えば、体育の点数を5倍にしたり、コツコツと主要教科に励む子を高く評価する高校があっていい。

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト