その姿勢は、日本会議国会議員懇談会メンバーである安倍首相にも通じる。安倍首相は官房長官だった2006年、女性・女系天皇を容認する法案に反対する姿勢を示したとされる。再登板後の2012年12月にも、野田前政権が取り組んでいた「女性宮家創設」を白紙に戻した。
憲法改正を推進しながら、皇室典範の改正に反対してきた点で、日本会議と安倍首相の姿勢は一致する。また前出の議員懇談会には安倍首相のほか、麻生太郎・副総理や菅義偉・官房長官など安倍内閣の閣僚の半数が名を連ねるだけに、安倍内閣は日本会議の主張に影響されるのではないかとの見方も根強い。
しかしその一方で日本会議内には別の意見もある。日本会議の代表委員を務める長谷川三千子・埼玉大学名誉教授がいう。
「生前退位に限らず、現在の皇室にはさまざまな課題がある。大切なのは、皇統をどう安定させるかということ。今後は皇室典範のあり方を議論していくこと自体は不可欠なものになっていくのではないか」
政権に多大な影響を与える巨大組織ゆえ、今後の動向が注目される。
※週刊ポスト2016年8月5日号