国内

日本会議が「生前退位」の最大障壁となる可能性

日本会議の関連書籍はベストセラーに

 天皇を敬うことと天皇の意向に同意することが必ずしも一致しないところに、皇室典範改正問題の難しさがある。

 保守系民間団体「日本会議」は、実はこれまで皇室典範改正に反対してきた。もしかしたらこの巨大組織が、生前退位の最大障壁となるのかもしれない。生前退位の意向が報じられると、東大名誉教授で日本会議副会長の小堀桂一郎氏は産経新聞(7月16日付)でこうコメントした。

「天皇の生前御退位を可とする如き前例を今敢えて作る事は、事実上の国体の破壊に繋がるのではないかとの危惧は深刻である。全てを考慮した結果、この事態は摂政の冊立(さくりつ)を以て切り抜けるのが最善だ、との結論になる」

 日本会議は会員数約3万8000人を誇り、「憲法改正」や「皇室の伝統を守る」ことなどを掲げてきた。その理論的支柱である小堀氏は「生前退位」は「国体の破壊」に繋がると言うのだ。

 これまでも日本会議は、「皇室典範改正」の動きに一貫して抗ってきた。小泉内閣時代の2006年、政府の有識者会議が女性とその子供の「女系」にも皇位継承を認める報告書を提出すると、日本武道館で、「皇室の伝統を守る一万人大会」を開催し、大規模な反対運動を展開した。

 2011年に民主党の野田内閣が、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設を打ち出した時も日本会議は反対し、「今回の政府による皇室制度改革が長い皇室の伝統を破壊することがないよう、政府の実施しているパブリックコメントに応募し、忌憚ないご意見を届けて下さい」と呼びかけた。

 こうした姿勢を取る理由はどこにあるのか。会合の講師に招かれるなど日本会議と関係が深い麗澤大学教授の八木秀次氏が解説する。

「わが国の皇統は一貫して男系によって継承されており、その観点から女系天皇やそれに繋がる女性宮家は認められない。女系を認めれば、対象範囲が際限なく広がる危険性も孕んでいる。

 また皇室典範は歴史を踏まえて生前退位の規定を設けておらず、仮に生前退位を認めると非常に大がかりな制度変更が必要になる。(小堀氏の見解のように)摂政か臨時代行で陛下の負担を軽減するのが現実的です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
職場では研究会の運営や、情報誌の編集に当たられているという(4月、東京都八王子市。時事通信フォト)
【ほぼ毎日出社】愛子さま、上司と積極的にコミュニケーションを取って奮闘中 女性皇族議論が進まない状況でますます仕事に没頭か
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者(51)。ストーカー規制法違反容疑の前科もあるという
《新宿タワマン刺殺事件》「助けて!」18階まで届いた女性の叫び声「カネ返せ、カネの問題だろ」無慈悲に刺し続けたストーカー男は愛車1500万円以上を売却していた
NEWSポストセブン
初となる「頂上鼎談」がついに実現!(右から江夏豊、田淵幸一、掛布雅之)
【江夏豊×田淵幸一×掛布雅之の初鼎談】ライバルたちが見た長嶋茂雄秘話「俺のミットを“カンニング”するんだよ」「バッターボックスから出てるんだよ」
週刊ポスト