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2016.07.28 07:00  週刊ポスト

腰痛を治したければ「脳の錯覚」を自覚せよ 最新診療の効果

「アメリカの脳生理学の権威であるバニア・アプカリアン教授の最新の研究では、慢性腰痛患者は脳のDLPFC(背外前頭前野)などの部位で、体積の減少が起きていることを突き止めました。DLPFCには痛み情報を受け取った神経回路の興奮を鎮める働きがあります。

 また私どもの研究では、慢性腰痛患者は脳の側坐核の機能が低下傾向にあることもわかっています。側坐核は放出されたドーパミンの刺激により、脳内モルヒネの分泌を促し、痛みをコントロールする働きを担っています」(前出・菊地氏)

 痛みに対する不安や恐怖がDLPFCや側坐核の機能を低下させ、慢性腰痛を生み出しているというのだ。原因が脳にある腰痛はどう治療すればいいのか。

 現在、世界中で注目されているのが認知行動療法だ。痛みの原因である恐怖やストレスを減少させる心理療法で、日本でも2012年、日本整形外科学会と日本腰痛学会がまとめた「腰痛診療ガイドライン」に「有効な治療法」として掲載された。

 そのなかでも、福島県立医科大学で行なわれている「リエゾン診療」という認知行動療法が話題となっている。整形外科医のほかに精神科医や臨床心理士、薬剤師やソーシャルワーカーなどが1つのチームになって診療にあたる。

「認知とは物事の捉え方や考え方のことをいいますが、慢性腰痛の患者さんには共通した考え方のクセがあります。“怖くて腰を動かせない”、“痛み止めを飲まないと痛みは引かない”といったネガティブで極端な思考です。

 この考え方の歪みが、痛みに過剰反応する体質にがっている。認知の歪みを正しく矯正するには、心理的な問題の専門家も含めたチーム医療で対処するのが望ましい」(同前)

 治療のベースとなるのが、患者に日々、腰痛に対してどう考え・どう行動しているかを日記につけてもらう日記療法だ。

 本人が自身の腰痛を客観視することで、次第に考え方の歪みやクセに自ら気付き、痛みに対する過剰反応が抑えられるという。感じている腰の痛みが、実は“脳の錯覚”であることを自覚させる──これまでにない画期的な治療法だ。

※週刊ポスト2016年8月5日号

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