ライフ

腰痛を治したければ「脳の錯覚」を自覚せよ 最新診療の効果

腰が痛いのは脳の錯覚?

 厚生労働省の調査によれば、現在、日本では2800万人もの人が腰痛に悩まされている。そのうち85%は原因がわからず、長期にわたって痛みと付き合うことを余儀なくされている。だが、医療の発達が、そうした状況を過去のものにしてくれるかもしれない。最新の腰痛治療に迫った──。

 都内在住の内山隆史氏(仮名・59歳)は2年前の早朝、布団から起き上がろうとした際、突然激しいぎっくり腰に見舞われた。

「2、3時間は寝返りも打てず、同じ姿勢のまま布団の中で横たわっているだけ……妻の手を借りて近くの整形外科を訪れ、痛み止めの注射を打ってもらって初めて人心地がついた」

 この日を境に内山氏は“腰痛持ち”となった。内山氏の腰痛は、病院でX線写真やMRI(核磁気共鳴画像法)などの精密検査を受けても、特別な異常は認められなかった。それでも痛みが続くため、「痛み止め薬の服用が欠かせない」と内山氏は話す。

 ぎっくり腰などの急性腰痛は本来、「発症から4週間未満」で痛みは引くとされる。一方、3か月以上も続く慢性腰痛は原因が特定できない「非特異的腰痛」といわれ、有効な治療法もない「難治性疾患」の代表格とされてきた。

 だが、近年、慢性腰痛のメカニズム解明が急速に進みつつある。脊椎・脊髄外科が専門で、腰痛治療をライフワークとする福島県立医科大学理事長の菊地臣一氏の解説だ。

「慢性腰痛とは、痛みの原因となる損傷や異常はすでに治っているのに、痛みだけが残っている状態を指します。なぜ、そんなことが起こるのか? 実は慢性腰痛を訴える患者の多くが、腰ではなく、脳に機能障害を起こしている可能性が明らかになってきたのです」

 これは痛みのメカニズムとも密接に関係する。

 ケガをした時に「痛い!」と感じるのは、脳に「組織が損傷した」という情報が送られるためである。“痛み情報”が脳に伝わると、ドーパミンが放出され、脳内モルヒネやノルアドレナリンといった痛みを抑える神経伝達物質が生産される。慢性腰痛患者の多くは、この「鎮痛システム」が機能低下しているケースが多いという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

バラエティー番組『孝太郎&ちさ子 プラチナファミリー 華麗なる一家をのぞき見』
コシノ三姉妹や石原4兄弟にも密着…テレ朝『プラチナファミリー』人気背景を山田美保子さんが分析「マダム世代の大好物をワンプレートにしたかのよう」
女性セブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン