◆2人の朝陽
ところがある日、蓉子は、自分が産んだ長男・壮一が、不出来ゆえに、「自分の子ではないのではないか」と陽一に疑われていることを知る。怒り狂った蓉子は、偶然にも朝陽と同じ名前・同じ年頃の少年を玉慈の病院内で見つけ、DNA鑑定を行う。そして彼こそ本物の陽一の息子だとするのだった。
追い出されそうになった朝陽は事情がわからず泣いて陽一にすがるが、激しく突き飛ばされた勢いで、背中に大けがを負う。そればかりか、自分を迎えに来ようとしていた母と、優しかった義父が道中で事故死。しかも蓉子は、残酷にも焼け死んだ両親の亡骸を、朝陽に見せつけるのだった。
帰る家をなくした朝陽が連れて行かれたのは、児童ポルノを生業にするようなやくざな養父母のもとだった。虐待を受けながら、そこにいた千恵とかばい合う朝陽。養父母は、カッとなって刀で朝陽を切りつけた。
このことで、夜羽の背中にもう1つの深い傷ができるのだが、物語の随所で使われる羽根のモチーフは、まるで翼をもがれたような、夜羽の傷を象徴しているのだった。
その後、どういういきさつか、楊麗杏という華僑に拾われた朝陽。どうにか生き延び、名前を夜羽と変え、米国でERの医師として第二の人生を歩んでいた。
しかし、そこにもたらされたのは、かつて姉と慕った千恵の不審死という悲報。しかも自分とかつて入れ替わった少年・龍王子朝陽と千恵が恋人だったことを知る。またしても夜羽の人生は、龍王子家に翻弄され、ついには龍王子家への復讐を心に誓うのだった。
まさに“地獄”を体験した夜羽は、手始めに龍王子思音の婚約者のスキャンダルをマスコミにリーク。続いて壮一の医師としての力量のなさを陽一に知らしめることで、跡継ぎ問題を浮上させ、龍王子家を掻き回していくのだった。
夜羽によって掻き乱されて行くのは、龍王子家の2人の姉妹の心も同じだった。次女の思音も、長女で代議士に嫁いだ人妻の菖蒲も、夜羽の魅力に引き込まれていく。しかし、夜羽が本当に惹かれるのは…。
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※女性セブン2016年8月11日号