ライフ

28歳、佐藤天彦新名人が将棋界に吹き込んだ新しい風

史上4番目の若さで名人位に就いた佐藤天彦氏

 今、将棋界は大きな話題に沸いている。佐藤天彦八段が羽生善治名人を破り、28歳で名人位に就いたのだ。20代での名人獲得は16年ぶりという快挙でもあった。

 名人戦第1局は棋界の絶対的王者ともいえる羽生名人が勝ち、順当な滑り出しを見せたのだが、第2局で波乱が起きる。終盤で佐藤の玉が詰んでいたにもかかわらず、羽生が2度にわたり即詰みを見逃すという大ポカを演じてしまった。名人戦という大舞台で起きた信じられない羽生のミスに、佐藤は指先の震えが止まらなかったという。

 第2局を制した佐藤はそのまま勢いに乗り4連勝で羽生を圧倒。棋界の最高峰である名人位を奪取、16年ぶりの20代名人が誕生した。

 佐藤は1988年に福岡で生まれた。保育園時代に将棋を覚え、小学校に入学するころには大人に負けない棋力になっていた。将棋を教わったのは、初期のゲームソフト「森田将棋」だったと聞いて驚く。「森田将棋」が生んだはじめての名人といえる。やがて博多の将棋道場に通うようになり、将棋の強い小学生は大人たちの寵愛を受けながら腕を上げていった。子供の頃から性格がよく、誰にでも好かれるアイドル的な存在だった。やがて道場は移転、新しい場所で師匠の中田功七段と出会う。

 中田といえば大山康晴十五世名人の数少ない愛弟子。つまり佐藤は大山名人の孫弟子にあたる。名人の系列なのである。中田は小学生の佐藤に飛車落ちで指導をする。プロに飛車落ちはアマ四段でもまず勝てない手合いで、佐藤の資質に驚く。駒落ちというのは下手が攻めて勝つのがほとんどの定跡で、また子供は本質的に攻めるのが好きなので、大抵は下手の攻めを上手がどういなすかという戦いになるのだが、佐藤少年は違った。いつの間にか受けに回り上手の攻めをいなしてしまったのだという。その柔軟な発想に中田は舌を巻いた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン