何よりも問題なのは慣習の違いがトラブルの種になっていること。大阪の人が東京に行き、いつも通り右側に立っていると、後ろから歩いてきた人に「東京は左側に立つんだ」と指摘されて諍いになっている光景を見ることは多い。また、左に立つ人と右に立つ人が混在すると、ぶつかるリスクも増える。大阪でも、昔は東京から来た人が左側に立っていると、“邪魔や”“のかんかい”といわれてトラブルがよく起きていた。
ここで興味深いのは、最近の新大阪駅の状況だ。東京から来た人が左側に立っていると、その後ろの関西人が同じように左側に立つ光景を目にするようになった。つまり「前の人に合わせる」ようになってきた。
右に立つか左に立つかを国民投票で決めてしまう考え方もあるかもしれないが、不採用になったほうの不満が高まり、国民感情が分断される。だから、「前の人に合わせる」という選択肢を加えて、国民投票で合意形成してはどうか。
郷に入っては郷に従うルールになれば“右派”も“左派”も納得するのでないか。
※週刊ポスト2016年8月5日号